対象者に合わせた、効果的な栄養指導法を学ぶ「栄養教育論」
好き嫌いを克服するのに有効な指導法とは?
健康な身体を維持するためには、必要な栄養素をバランスよく摂取することが大切です。特に、身体が出来上がっていく年代は、適切なエネルギーの確保と骨や筋肉の材料となるカルシウムやタンパク質が重要です。
では、牛乳が苦手で、栄養素についての知識も乏しい小学校低学年の児童から、「どうして牛乳を飲まなきゃいけないの?」と尋ねられたら、どのように教えるのがよいのでしょうか? どんな栄養指導が、より高い効果を生むかを研究する「栄養教育論」は、管理栄養士をめざす人たちにとって必須の学問と言えます。
「知識」だけでなく「意識」を持たせる
「500mlの清涼飲料水には50gほどの砂糖が入っている」と言われるのと、ペットボトルの前に15個ほどの角砂糖を並べて見せられるのと、どちらの方が「ヤバい、飲み過ぎたら太る」と感じそうですか。ピーマンが苦手な人に、「ビタミンCやβ-カロテンが豊富に含まれていて、美肌やアンチエイジングの効果が期待できる」と言ったら、ピーマンを食べる気になるでしょうか。栄養指導の対象者に「行動」を起こさせるためには、栄養が健康状態に与える影響などの「知識」を与えるだけでなく、「今のままではいけない」という「意識」を持たせなければなりません。どのような説明が、より強い意識につながるか、対象者に合わせて考えることが重要なのです。
対象者に合わせて工夫する、難しさとやりがい
「栄養教育論」では、対象者を7~8段階の年代に区分し、各年代の健康特性を踏まえながら指導方法を学びます。適正なエネルギー摂取量や重要な栄養素は年代ごとに異なり、同じ年代でも、スポーツ活動の有無や体格などによって異なります。
次の世代を担う子どもたちが、必要な栄養素を適正に摂取するよう指導することは、子どもたちの親世代への啓発にもつながるでしょう。対象者の関心事などを考慮して指導方法を工夫するのが、栄養指導の難しさであり、やりがいでもあるのです。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
広島修道大学 健康科学部 健康栄養学科 教授 村上 淳 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
栄養学、行動科学、栄養教育論先生への質問
- 先生の学問へのきっかけは?
- 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?