暮らしをさらに安全・安心・快適に変える画像処理技術の進歩
犯罪が起きる前の防犯対策
防犯カメラは、犯罪行為を録画して犯人逮捕に結びつけるための設備です。これが犯罪発生前に不審者や不審物を見つけ出せれば、もっと効果的な防犯が実現するでしょう。そこで研究が進められているのが、画像処理技術を活用して人の動きなどを自動解析し、必要な場合は警備員や警察などに通報するシステムです。
不審な動きや不審物を映像から抽出する
映像から不審者・不審物を見つけ出すには、「背景差分」という画像処理技術を用います。空港のロビーなど、警戒が必要な場所を事前に「背景」として撮影しておき、それに現在の映像を重ね合わせると、背景には写っていない人物や荷物のシルエットが抽出できます。その動き方や動くスピードなどをフレーム単位で比較し、暴力行為と思われる動きや、放置されっぱなしの荷物などを自動的に検出するわけです。
同じ暴力行為でも、動き方やスピードには個人差があります。また、時間帯によって照明環境も変わります。そこで、人のいろいろな動きの中から、明らかに不審な動きを統計的に定義したり、背景画像と現在の明るさの差を、時刻に合わせて調整したりする研究が進んでいます。
画像処理技術の進歩で、地域産業の活性化も
映像をもとに「通常とは違う動き」を解析する技術は、解析する動きを「転倒」「転落」などに設定すれば、高齢者施設での見守りシステムなどにも応用できます。また、畜産分野にも応用されています。例えば、牛の分娩室に設置したカメラで、獣医の介入が必要と思われる母牛の異常な動きを検知したり、牛の斑紋から個体識別し、健康状態をチェックしたりと、さまざまな活用法が考えられます。
従来、人が付きっきりで見守らなければならなかった場面を自動解析し、必要な時にだけスマホに警報を送信するような仕組みを作れば、畜産業の省力化にもつながるでしょう。画像処理技術の進歩は、畜産が主産業である地域の活性化にもつながる可能性があるのです。
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先生情報 / 大学情報
宮崎大学 工学部 工学科 情報通信工学プログラム 教授 ティティズイン 先生
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