鉱物の中に閉じ込められた「地球の記録」
地球を知る手がかりは岩石・鉱物にあり!
地球は、ほかの惑星と同じように隕(いん)石がぶつかりあってできたものです。しかし、その後どのようにして今の地球の姿になったのかは、多くの謎に包まれています。特に、生命が誕生する前の時代には、遺跡も化石もありません。ではどうやったら人類や生物が誕生する前の地球の様子を知ることができるのでしょうか? その手がかりは、岩石や鉱物の中にあります。いつ海ができたのか、大陸はいつからあったのか、いつどこで生命が生まれたかなど、岩石や鉱物はさまざまなことを教えてくれます。
大陸はいつからあった?
例えば、いつ頃大陸ができたのかは、ジルコン(ZrSiO₄)という鉱物を調べることでわかります。ジルコンは大陸の元となる花崗岩(かこうがん)に多く含まれる鉱物です。ジルコンは、その中に含まれるウランと鉛の比を調べることによって、それがどの時代にできたジルコンであるかわかります。つまり、ジルコンができた年代がそのまま大陸ができた年代であると言えるのです。その調査から、少なくとも44億年前には大陸があったことがわかっています。地球ができたのが約45.6億年前なので、かなり初期から大陸があったということになります。また、花崗岩の形成には水が必要なので、大陸ができた当時にはすでに海があったのではないかとも考えられています。
ジルコンの持つ豊富な情報
ほかにも、ジルコンからはいろいろなことがわかります。例えば、ジルコンの中に不純物として炭質物が入っていることがあります。炭素の同位体比からは、生物が関与していたかどうかがわかります。生物は軽い炭素を取りこむので、炭素12と炭素13の比をくらべて、12が多い場合は生物が関与していたとわかるのです。また、ジルコンに含まれるわずかな磁鉄鉱から、地球の磁場がどう変化したのかもわかります。さらに、まれに入りこんでいる少量の水からは、当時の海や大気の組成などもわかってしまうのです。
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横浜国立大学 都市科学部 環境リスク共生学科 教授 山本 伸次 先生
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