誰もが自分らしく自由に生きられる社会をめざす、北欧の取り組み
北欧5カ国全域で戦略的にジェンダー平等を促進
「北欧」と聞いて多くの人が抱くイメージといえば、寒い、自然が美しい、デザインセンスに優れている、といったところでしょうか。実は北欧5カ国(ノルウェー、デンマーク、スウェーデン、アイスランド、フィンランド)はジェンダー平等や社会福祉において世界でも先進的な国々です。それぞれの国の施策だけではなく、5カ国間で常にお互いの政策をチェックしあい、全域で戦略的にジェンダー平等を促進、確立していこうという地域協力も行われてます。
実は各国で異なるジェンダー平等への取り組み
北欧5カ国のジェンダー平等に関する取り組みを研究すると、各国の特徴が見えてきます。例えばジェンダー平等ランキングで13年連続第1位を獲得しているアイスランドは、法律を整備することでジェンダー平等を促進しています。一方でデンマークにはジェンダー平等の法制化ではなく、国籍や宗教などを含めたさまざまな人権問題を、企業や行政、社会において一人ひとりが意識して変革していこうという考え方です。またノルウェーの徴兵制は、女性も平等に兵役が課され、平等に訓練が行われていますが、これは行きすぎた男女平等ではないかという議論も出てきています。このように、ジェンダー平等が共通の目標でありながらも、各国によって取り組み方は異なるのです。
日本の社会変革の参考に
北欧はLGBTに対する取り組みも進んでおり、日本ではまだ認められていない同性婚や、同性カップルが子どもを持つことが法律で認められています。またトランスジェンダーについても、日本では手術やホルモン療法などの「治療」を行うことがありますが、例えばノルウェーでは、本人による申請によって性別が変更できます。日本では、ようやくジェンダーやLBGTについて本格的な議論が始まったと言えます。日本とは人口規模や社会的背景など、さまざまな違いはありますが、誰もが「生きづらさ」を感じない、自分らしく生きられる社会を構築していくうえで、北欧は大変参考になるでしょう。
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先生情報 / 大学情報
東海大学 文化社会学部 北欧学科 講師 浅井 亜希 先生
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