常連客に要注意?! マーケティング視点でスポーツを考える

苦戦するスキー場
野球やサッカーといったプロスポーツは、マーケティングを巧みに取り入れてファンの拡大に成功しています。一方、スキーやスノーボード、キャンプといった分野ではこの限りではありません。昔ながらのやり方に頼るようなスキー場には、マーケティング的な視点があるとはいえません。加えて近年のスキー人口減少も逆風となって、特に資本規模の小さいスキー場や近隣ホテルは、苦戦を強いられているのです。
顧客を正しく知る
こうした状況を改善するには、顧客について正しく知ることが大切です。そのための方法として、「ロイヤリティラダー」という考え方があります。これは、企業やサービスに対する信頼や愛着の大きさによって顧客を段階的に分類するものです。ラダーの上位には、宣伝広告をしなくても繰り返し利用してくれる「常連客」が含まれます。
スキー場にとって常連客はありがたい存在ですが、必ずしも良い影響ばかりとは限りません。あるスキー場の常連客にインタビューを行ったところ、「このスキー場は自分のもの」という意識が強くなり、他の人に存在を教えたくないと考える人もいたのです。また、「できるだけお金をかけずに楽しみたい」という倹約志向の傾向も見られました。
マーケティングの力
顧客を理解するためには、「スイッチング・コスト」に注目することも大切です。これは、顧客が別のスキー場に乗り換えずに通い続ける理由として、「新しいスキー場を探す手間」「今のスキー場の特典を失う不安」「スタッフや常連客とのつながり」などが関係しているからです。こうした負担を分析することで、顧客をつなぎとめられるヒントが見えてきます。
スポーツは楽しむことが目的ですが、顧客分析などのマーケティングの手法を当てはめて「ビジネス」としてとらえることは非常に有意義です。特に、ウィンタースポーツやマリンスポーツのように季節が限定され、経済的基盤が強くない分野では、マーケティングの活用がスポーツの持続可能性を高める鍵となります。
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