地球環境問題を足元から解決。自然と共生する「パーマカルチャー」

地球環境問題を足元から解決。自然と共生する「パーマカルチャー」

グローバル化した世界における過剰消費の限界

グローバル化の一途をたどる今の世界は、経済や社会を支えるシステムが巨大になりすぎ、エネルギーの大量消費や地球温暖化など自然環境に過剰な負荷をかけてしまっています。例えば、イギリスで収穫されたリンゴが、ただその表面をきれいに磨くためだけにアフリカに輸出され、そしてまたヨーロッパに輸入されるといった現象まで起こっているのです。
大量生産と大量消費が世界規模で行われている今の状況は、そう長くは続けられません。環境面でも資源面でも、近い将来、私たちの社会には必ず限界が訪れるという試算がなされています。

自然と共生するパーマカルチャーの取り組み

どうすればこの危機を脱することができるでしょうか。それにはそれぞれの地域でエネルギーや物が循環する仕組みを取り戻すことが必要です。具体的には、パーマカルチャーという手法があります。「パーマカルチャー」とは、パーマネント(永続的な)とアグリカルチャー(農業)あるいはカルチャー(文化)を組み合わせた造語で、将来にわたって持続可能な農業やライフスタイル、文化を表す概念です。循環型農業や自然エネルギーなどを取り入れ、資源の浪費や環境負荷を最小にして、人々のニーズ(食や生活の快適さなど)を満たす取り組みが行われています。最近では、都市生活の中でもさまざまな工夫をしてパーマカルチャーを実践する「アーバン・パーマカルチャー」と呼ばれる活動の機運も高まっています。

地球規模で考えて、地域で行動する

このようにこれからの時代は、地球規模で問題をとらえ、地域で行動することが大切になります。地球温暖化などの大きな問題を前にすると人は無力になりがちですが、それでは問題は解決しません。まずは地域レベルで具体的な取り組み(自然エネルギーの導入や物の循環利用など)を行い、それを目に見えるモデルとして示すことで、ほかの地域そして全体へと広がる動きになっていきます。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。

先生情報 / 大学情報

武蔵野大学 工学部 環境システム学科 准教授 明石 修 先生

武蔵野大学 工学部 環境システム学科 准教授 明石 修 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

環境システム学

先生が目指すSDGs

メッセージ

ショッキングかもしれませんが、大量消費型の今の社会や暮らしはこのまま続けることはできません。人間の活動はすでに地球の容量(キャパシティ)を超えてしまっているからです。今後、環境破壊や資源の枯渇などの影響が顕著に出てくるでしょう。でも、悲観する必要はありません。解決策はすでにあります。私の行った研究では、今行動を起こせば危機は回避できます。自然エネルギーを最大限導入し、自然の循環に沿ったライフスタイルに変えていけば間に合います。さぁ、明るい未来に向かってポジティブな変化を起こしましょう。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

武蔵野大学に関心を持ったあなたは

2024年に100周年を迎えた武蔵野大学は、同年4月、ウェルビーイング学部ウェルビーイング学科を新設しました。2023年4月には、社会と環境をデザインし実現する、文理融合型の「サステナビリティ学科」を開設し、近年では、起業家精神を育成する「アントレプレナーシップ学科」や私立大学初の「データサイエンス学科」を新設。常に時代の変化を先取りし、13学部21学科の文・理・医療・情報系の総合大学へと発展・拡大を続けています。