生活しながらさりげなく健康管理! 進化する生体計測の未来
血圧や心電図の測定はストレスフル
医療機関での診察や日常の健康管理に欠かせないのが、血圧や心拍数などを測って体の調子を知る生体計測です。従来の生体計測は、カフ(圧迫帯)を腕に巻き付けて血圧を測ったり、電極を体にいくつも貼り付けて心電図を測定したりと、計測される人に少なからず負担を強いるもので、それによる測定値への影響も懸念されました。しかし近年、カフや電極などのセンサーを装着して負担をかけたりしない計測技術が相次いで登場しています。顔の動画を画像処理することで脈拍を測定するといった、非接触型で計測していることを意識させない技術も開発されています。
生活の中で無意識に生体計測
もしストレスが日常生活の中でも簡単に計測できれば、さまざまな年齢や職業の人々のメンタルヘルス管理に大きく役立ちます。そこで、人間の血圧や心拍数をリアルタイムで計測し、血圧や心拍数の変化にともなう神経のバランスからストレスを数値化する研究も進んでいます。しかし、常時センサーをつけながら生活するのは難しいので、測っていることを意識させない、つまり無意識生体計測が理想です。例えば椅子に座る、ノートパソコンを操作する、トイレで用を足す、といった普段の生活動作と生体計測を合体させれば、日常生活の中で知らず知らずのうちにデータを収集できるでしょう。
医学とテクノロジーの融合
無意識計測は、診断のために大掛かりな装置をつけて眠らなければならない睡眠時無呼吸症候群のような病気や、計測装置の装着や測定するために必要な操作が困難な高齢者や子どもにとっても大きなメリットがあります。また、腕時計やメガネのように装着できるウェアラブル機器で恒常的に無意識計測できれば、長期のデータ記録が可能になります。蓄積したデータを分析して体調の変化を予測し、装着者に注意を促すこともできるでしょう。生体計測にとどまらず、医療に関するさまざまな機器が、最新の医学と工学技術が融合した生体医工学や臨床工学とともに、どんどん高度に進化しているのです。
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先生情報 / 大学情報
藍野大学 医療保健学部 臨床工学科 教授 五十嵐 朗 先生
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