どうしたら心の「SOS」信号をとらえられるのか?
青年期のメンタルヘルスを支えるために
ストレス社会の現代では、5~10人に1人がうつ病になるとも言われ、心の病は身近なものとなりました。臨床心理学におけるメンタルヘルス分野では、そうした症状に陥る人の心理的要因の分析や、彼らを手助けするための研究をしています。
特に、高校生や大学生、新社会人などの青年期は、心のバランスを崩すことも多く、カウンセリングや予防プログラムの構築が急がれています。
「心のSOS」を相談できない
精神分析学によれば人は誕生から乳児期、児童期、思春期、青年期と進む中で、いくつもの発達課題をクリアしながら精神的に成長し、社会に出る頃には、自分なりのアイデンティティを築き上げていきます。しかし、どこかでさまざまな事情により発達課題に積み残しがあると、精神のバランスを崩してしまうこともあります。そうなったときに、誰かに相談できたり、自分で解決できたりするとよいのですが、一人で抱え込んでしまうケースが多いのです。
日本人には「恥」の概念が根強く、人からどう見られるかを非常に気にして、自分の弱みを人に相談するのは恥ずかしいと思う傾向があります。また、人と上手にコミュニケーションが取れないことがコンプレックスとなり、ますます誰にも相談できないという人も多くいます。そうした「心のSOS」の状態を自分自身で気づき、対処方法を身につけ予防を高めようとするのがメンタルヘルスの研究です。
実践的予防プログラムを構築
メンタルヘルス研究では、心理状態の研究だけでなく、効果的な予防プログラムの開発研究も行っています。悩みを抱える人が他者に助けを求める行動を「援助要請行動」と言いますが、そのSOS信号をいち早くキャッチするにはどう接するのがよいのか、相談しやすい環境を整えるにはどうすればよいのか、具体的にどんな聞き方をすればよいのかなど、さまざまなデータをもとにプログラムをつくっています。
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先生情報 / 大学情報
札幌学院大学 心理学部 臨床心理学科 教授 斉藤 美香 先生
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