世界の経済状況をシミュレーションで予測できる!?
経済予測は野球の監督の得点予測に似ている
野球において監督は、選手の打率や調子を見て打順を決めます。その打順によって、何点得点できるかが変わります。これを何百試合分、何万試合分とシミュレーションしていけば、打順と得点の大体の関係が割り出せるようになります。経済の予測においても同じことが言えます。好景気の後に不況になる確率、好景気が続く確率、不況の後に好景気が戻る確率、不況が続く確率というように、関与する経済要素によってパターンやそのパターンが起こる確率を推定することができます。現状では、経済の状況はかなり複雑な要素が絡み合っているので、コンピュータシミュレーションを行って経済を予測するのが主流です。
成長経路をシミュレーションで明らかに
世界各国の所得水準を比較してみると、日本、アメリカのように豊かな国(先進国)がある一方、貧しい国(発展途上国)もあります。豊かな国と貧しい国の1人当たりの所得や生活水準の格差は非常に大きいのが現実です。豊かな国はどうして豊かで貧しい国はどうして貧しいのか、貧しい国は永遠に貧しいままとり残されてしまうのか、どうすれば貧しい国は豊かになれるのか、などについて研究する「経済成長論」という学問があります。発展途上国の経済がどのような経路をたどって、どこに向かって行くのか、いつになったら豊かになれるのかなどをコンピュータシミュレーションで予測することができます。
数字や数式で示すメリット
経済成長を左右する要因はたくさんありますが、その中で「効率性」というものがあります。効率性は目に見えない抽象的概念です。したがって、抽象的なものの大きさを直接比較することは難しいです。しかし、効率性を数量化することができます。すると、客観的な形でとらえられて比較分析が可能になります。経済の動きや人間の行動も法則化し、数式で表現できれば、10年後、100年後の経済がどうなっているのか、シミュレーションを用いて予測することができるのです。
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先生情報 / 大学情報
亜細亜大学 経済学部 経済学科 教授 申 寅容 先生
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