地球の未来の食料生産を支える「スマート農業」とは何か?

地球の未来の食料生産を支える「スマート農業」とは何か?

限られた農地を有効活用するには

日本の国土はその多くを山林が占め、農地の面積は広くありません。北海道を除くと、農家1戸あたりの農地もほかの国々に比べて桁違いに小さいのが実情です。日本の限られた農地で競争力のある農作物を生産し、なおかつ収益性を高めるためには、情報ネットワークやロボットなどのテクノロジーを活用して、高度な自動化と高品質生産を実現する「スマート農業」の導入が不可欠なのです。

農産物輸出額で世界第2位の国、オランダ

オランダの国土は、日本の九州とほぼ同じ広さしかなく、国土の約44%を農地が占めますが、それでも農地は日本の半分以下です。しかし実は、オランダは農産物輸出額では米国に次ぐ世界第2位の輸出大国なのです。それを可能にしている一つの例が、グリーンハウスと呼ばれる巨大な温室群で行われているスマート農業です。育てられているのは、トマト、キュウリ、パプリカなどの収益性の高い野菜と、観賞用の花卉(かき)などが中心です。グリーンハウス内では、温度などの環境制御はもちろん、作物の成育状況もセンサーで常時モニタリングされていて、最適な状態で出荷できるようにコントロールされています。例えば、ポット植えの花卉生産では、人間による作業が加わるのは、最初に種苗を植える時と出荷の際に搬出する時くらいで、栽培に関わる作業の約90%が自動化されています。

ドローンを使ったスマート農業

ほかの国々の場合、例えば台湾では、蘭の花の栽培農家などで、組織培養の段階から出荷に至るまで高度に管理された栽培方法が導入されています。中国でも近年、各地でスマート農業の導入が急ピッチで進められています。日本でも、グリーンハウスでの栽培システムの検討のほか、ドローンを活用して、稲などの成育状況を離れたところから調べるリモートセンシングを行ったり、ピンポイントでの農薬散布を行ったりする研究が進められています。日本のみならず、地球全体の未来を切り拓くための重要な手がかり、それがスマート農業なのです。

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高崎健康福祉大学 農学部 生物生産学科 教授 大政 謙次 先生

高崎健康福祉大学 農学部 生物生産学科 教授 大政 謙次 先生

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生物生産学、農業情報システム学、園芸学

メッセージ

農学は、食料生産と加工・流通、そして消費を結びつける総合科学です。地域振興のために不可欠な学問であり、国際的に活躍できる人材を育成する学問でもあります。
高崎健康福祉大学農学部は、農学に関する最先端の知識を学ぶことのできる場です。情報化社会に適応した最先端のスマート農業や、食の安全・安心、健康と福祉、そして地球環境の保護を考慮した新しい食と農について、ともに学び、本学の農学部の伝統を新しく作っていきましょう。

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