スマート農業や二酸化炭素削減にディープラーニングの力で挑む
機械に画像を学習させる
さまざまな分野において、機械学習、中でも特にディープラーニング(深層学習)が活用されています。深層学習とは、神経回路を模した深いネットワークに大量のデータを与えることで、対象とする特徴や性質を自動的に学習させる手法です。自動運転や診断支援が代表例ですが、両者の共通点としては、画像認識の技術が大きく関係していることです。画像認識の場合は、大量の画像データを学習することで、対象物を分類したり解析する能力が自動的に獲得できます。
深層学習による画像解析の挑戦先
コンピュータやセンサ、ロボットなどを活用したスマート農業の実現が期待されています。遠隔地から情報通信技術を駆使して農業に従事できれば、誰もが気軽に農作物を生産する歓びを感じることができます。例えば、作物の状態を調べるために直接畑に行って目で確認する作業が、カメラを搭載した小型ロボットを使って画像として撮影し、深層学習による生育状態の解析に代替できます。
また、CCSの実現に向けた研究も大きな挑戦先です。CCSとは、温室効果ガスを削減する方法のひとつで、発電所や工場などから排出された二酸化炭素を地下に埋めて貯留する技術です。ただし、どこにでも埋められるわけではなく、適した地質があります。ドローンを使って地層が露出している地形を撮影し、深層学習を使った画像解析によって、最適な貯留場所を同定する技術の確立が期待されています。
少ない素材にも深層学習を
画像認識に深層学習を使う研究には、大きな課題があります。例えば、椅子や机を学習させたい場合、インターネット上に画像が膨大にあるため、データの収集に困りません。しかし、生育状況を含む農作物や露出した地層の画像は、正解データを含めて入手が極めて困難な素材です。そこで、少ないデータを拡張する深層学習の開発が注目されています。この技術が実現できれば、素材がそれほど多くない分野にも、深層学習の適用範囲が格段に広がるでしょう。
参考資料
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岩手県立大学 ソフトウェア情報学部 ソフトウェア情報学科 人工知能コース 教授 間所 洋和 先生
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