スポーツの光と影 ~なぜドーピングはなくならないのか?~

スポーツの光と影 ~なぜドーピングはなくならないのか?~

ドーピングの副作用とは

スポーツで一流選手になれば、富と名声を得ることができます。そのため、大金を投資して子どもを一流選手にする親や素質のある選手を集めて一流選手をつくろうとする国家もあります。ところが、その裏でドーピングのような不正な手段が使われる場合があります。旧東ドイツでは国家ぐるみでドーピングを行い、多くの金メダリストを輩出しました。しかし、筋肉増強剤のせいで女性が男性化してヒゲが生えたり、子どもが産めなくなったりするなどの副作用が発生しました。さらに問題なのは、選手が知らない間に薬を摂取させられる場合があることです。子どもを産めなくなった選手が国を訴えた例もあります。

なぜドーピングを行うのか

ドーピングを行うのは、顕著な効果があるからです。ドーピングの疑いのある選手の記録には、何十年も昔なのにいまだに破られていないものがあります。そこでそういった記録を一度取り消そうという考え方もあります。世界記録の樹立は、関連するビジネスの成功を左右するからです。ただ、だからこそドーピングはなかなかなくなりません。ドーピング検査は厳しくなっているものの、逃れるために新しい薬が開発されるという「いたちごっこ」が続いています。
また、一流選手になるには、長い練習時間を確保しなければならず、施設使用やコーチ、練習道具などに大金がかかります。しかし一流をめざしていても成功するかどうかわからないため、一部の選手は即効性のあるドーピングに手を出してしまうのです。

スポーツの負の側面とは

このようにスポーツには光と影があります。適度な運動は健康によいのですが、一流選手の練習は度を越していて、むしろ健康を害する場合もあります。また、練習に集中してほかの教育を受けないでいたために、一流選手になることに失敗すると社会から落伍してしまう人もいます。結果を求めるあまり体罰を許してしまう風土も問題です。そして、一流選手を称賛する見る側にも問題が潜んでいます。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

名桜大学 人間健康学部 スポーツ健康学科 准教授 大峰 光博 先生

名桜大学 人間健康学部 スポーツ健康学科 准教授 大峰 光博 先生

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スポーツ哲学

メッセージ

スポーツ健康学科では、肉体的なパフォーマンス向上法やコンディションを作るためのトレーニング論、スポーツ心理学などスポーツに関心のある人が知りたい内容について広く学ぶことができます。その一方で、「スポーツとはそもそも何なのか」という哲学的な問題や、ドーピングをはじめとするスポーツの負の側面についても研究しています。
このような研究を通して、教養のあるスポーツパーソンを育てることに力を入れているのです。あなたが幅広くスポーツについて学びたいなら、ぜひ一緒に学びましょう。

先生への質問

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名桜大学は、平和・自由・進歩を建学の理念として1994年に開学。生きる力を育む教養教育(リベラル・アーツ)を基盤に、国際学群では、社会の多様なニーズに対応し地域および国際社会で活躍できる人材を育成、人間健康学部では、健康に生きる価値を人々と共に創りだす専門職、健康支援人材を育成しています。生涯のチカラとなる沖縄・名護での4年間。将来への扉は、ここから開かれています。