寝る子はデキる? パフォーマンスを上げる睡眠の心理学
一流アスリートが大事にしているもの
メジャー・リーガーの大谷翔平選手は、「もし一日1時間が増えたら何をしますか」と質問された時、「睡眠じゃないですかね。1時間増えるだけで、起きている時のクオリティーが上がる」と答えました。このように一流アスリートは睡眠をとても大切にしており、専門の睡眠トレーナーを付けている選手もいます。カナダの研究では、睡眠時間を増やしたら、選手のテクニック、試合の流れを読む洞察力や判断力、やる気、スピードがいずれも向上したという結果が出ています。睡眠時間が足りないと脳がしっかり休めずに前頭連合野の機能が低下して、集中力・注意力・記憶力・意欲などがダウンし、良いパフォーマンスが発揮できないのです。
徹夜勉強よりも睡眠で成績アップ!
睡眠の大切さはスポーツだけではなく、学業にも共通します。ある進学校の高校生を調査したところ、深夜3時まで勉強している生徒よりも、ほどほどに勉強して夜12時前に就寝する生徒の方が学業成績が良かったという結果が出ています。眠っている間に、新しい情報が脳の海馬に蓄積されて大脳皮質に書き込まれるので、きちんと睡眠をとらないと勉強した内容が「記憶」になりません。勉強も運動も、良いパフォーマンスを発揮するには、高校生なら7~8時間以上の睡眠が必要だと言われています。
その不調は、休日の寝だめが原因かも?
では、日頃の睡眠不足を補うために、休日に朝寝坊するのはどうでしょうか。実は、平日に比べて起床時刻に2時間以上の差がある人には、日中の眠気・いらいら・疲労感・頭痛・腹痛・成績の悪化などが報告されています。生活のリズムが乱れるので、海外旅行もしていないのに「時差ぼけ」を起こすのです。また睡眠は免疫力や肌の調子など、健康や美容にも影響します。睡眠をきちんととるために、就寝前にスマホを見ない、心配事を考えない、腹式呼吸で心身をリラックスさせるなど、心理学の分野でさまざまな睡眠改善法が研究されています。
参考資料
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広島国際大学 健康科学部 心理学科 教授 田中 秀樹 先生
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