地盤の特性を分析し、防災や環境対策を支える「地盤工学」とは?

地盤の特性を分析し、防災や環境対策を支える「地盤工学」とは?

人が暮らす大地を研究する

地面、つまり地盤は人の生活になくてはならないものです。もしそれが軟らかかったら私たちは暮らせません。ですから、建物や道路を造るときには、まず地盤調査が欠かせません。その地盤がどういう性質を持ち、強さや軟らかさがどれぐらいのものなのか、またどう変形するのかなどを調査し、万が一地盤が弱かったり軟らかすぎたりする場合には、水を抜いたり強化したりという対策を行います。その調査のために必要な知識が、土質力学や地盤工学です。

土の特性を調査する土質力学

土の中には必ず水分が含まれています。土の粒子がくっついているところに水が入り込み、雨や地震で粒子同士の粒を引き離してしまうと、土砂崩れや液状化現象などが起こります。そこで、土の成分特性や、土の中にどれだけの水が入っているかを調べ、地盤内の圧力や安定度を測るのが土質力学です。
例えば、粘土は粒子がつながる力が強いのが特徴ですが、軟らかく、時間をかけて水が抜けていくため、粘土質の地盤に建造物を造ると、その重さで次第に地盤沈下が起きていきます。事前の地盤調査でそういった地盤の特性がわかっていれば、地盤沈下の速度や程度も計算に入れた上で建造物を設計できるのです。

環境対策や新素材開発にも生かされる地盤工学

地盤調査を元に、土質力学によって地盤の特性を見極めた上で、地盤改良を行うのが地盤工学分野の研究です。さまざまな建造物を支える地盤の強さや、地盤沈下の原因となる変形のしやすさなどを調査し、そのメカニズムを解明し、沈下を少なくするにはどうしたらよいかを実験・研究します。その中で、水はけをよくする素材や工法の開発なども行います。
こうした地盤改良の研究は、豪雨や台風、地震などの災害現場の調査や防災にも生かされています。さらには原子力発電所の廃棄物を土中に埋める廃炉地盤工学、汚染された土壌の浄化などの環境地盤工学など、環境対策にも生かされています。

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先生情報 / 大学情報

室蘭工業大学 理工学部 創造工学科 建築土木工学コース 教授 木幡 行宏 先生

室蘭工業大学 理工学部 創造工学科 建築土木工学コース 教授 木幡 行宏 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

地盤工学、土質力学

メッセージ

人は地面を踏みしめ、地盤の上で暮らしています。土の特性や地盤の状態については、かなり研究が進んでいます。ですから、集中豪雨などで土砂崩れが起きても、そこを調査して崩れた原因を突き止めることは、比較的簡単です。ただしそれを予測するのは難しいのです。
そこで土砂崩れを防ぐための工法や新素材の開発などの研究が次々と生まれています。地盤工学はいわば縁の下の力持ちの学問です。普段はなかなか地盤に目を向けることはないでしょうが、地盤工学は人が暮らす上で欠かせない研究であり、やりがいがあります。

先生への質問

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北海道の工業都市で「ものづくりのマチ」である室蘭市に所在する室蘭工業大学は「地域貢献」を大きなキーワードとして掲げ、産業界で活躍しつづける幅広い理工系人材を育てるべく教育改革を行い、工学部から理工学部へと大きく進化しました。ものごとの本質をつかみ、探究心を養うべく理工学教育を全学的に充実させ、更にICTやAIの本質を理解して使いこなし、もの・価値づくりに貢献できる学生を育てる工業大学ならではの情報教育を推進しています。確かな研究力をベースとした教育力をキーワードとしている本学講義を体感ください!