トンネル工事に欠かせない地質調査
地下や山腹から地層のサンプルを取り出す
普段、高速道路や電車、地下鉄などで何気なく通過しているトンネルですが、安全で、できるだけ経済的に、かつ環境にやさしいトンネルを造るために重要なのが、造る前に必ず行われる地質調査です。「ボーリング」とも言われていますが、トンネルを通そうとしている場所のいくつかの地点から、ボーリングマシンを使って円筒状の地層サンプル(コア)を採取します。現在では、地下1000m以上でもコアを取り出すことができます。といっても、一気に地下1000mからコアを取り出すことは無理なので、調査地点にやぐらを組み、そこから掘り進むごとに20m程度の筒状のロッドをつなぎながら、地下深くに進めていくのです。
コアサンプルからわかること
採取したコアサンプルからは、どんなことがわかるのでしょうか?
コアサンプルを調べることで、どの地点にどんな性質の岩石や土があるのか、また断層や地下水の有無など、地下のいろいろなことがわかります。例えば、断層があったり、弱い地盤があったり、掘りにくい場所があれば、トンネルを当初の予定ルートから少しずらしたり、カーブをつけたりすることもあります。地質調査の結果で、建設予算も大きく左右されます。
構造物を造る際に欠かせない岩盤工学の知識
ただ、調査予算も限られているので、トンネル建設を予定しているすべての場所で詳細にボーリング調査をすることは不可能です。そこで、実際に掘り始めてから、10~20m前方をボーリングしつつ、想定通りの地質かどうかを確認していき、想定外のことがあれば、その都度対処していくのです。
トンネルに限らず、さまざまな構造物や建造物を造る際、コアによって地盤を評価するには、岩盤工学の知識が欠かせません。それによって、より安全に無駄のない工事を進め、安心して利用できる構造物を造ることができるのです。
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