コンパクト&エコロジーな都市をめざすためには
日本とヨーロッパの都市の違い
ヨーロッパの多くの都市は、かつて高い城壁に囲まれていました。一方、日本は迷路状に道を配し、敵を容易に攻め込ませないという考え方をもとに都市がつくられています。その結果、都市の境界はあいまいになりやすく、また高度経済成長期以降、積極的に郊外の開発を行ったことが、都市の拡大に拍車を掛けることになりました。
拡大路線からの方向転換
しかし、郊外の開発を進めたことで、街の中心地が空洞化を招く一因にもなりました。人口が少なくなっていく時代に入った今、コンパクトな街のほうが便利ですが、今まで拡大してきたものを急に小さくするのは簡単ではありません。仮に縮小させていくとしても、郊外を一気に自然に戻すことはできません。コンパクトな街にするには、郊外に住む人たちや企業・商業施設をどのようにして中心地に呼び戻すのか、さまざまな課題に取り組まなければならないのです。
未来の街づくりに必要なもの
今後は、環境に優しい街づくりについても考えていかなければなりません。近年、家や建物単位では環境について考えるようになりましたが、都市単位となるとまだ模索段階にあります。すでに建造物がビッシリ並んだ状態から都市を再構築していくのは難しいのです。
環境への日本人の意識の低さも問題です。例えばヨーロッパの場合、CO₂削減のために市街地に車を入れず、なるべく公共機関を利用しようという動きがあります。しかし、日本で同じことを試験的にやってみたところ、車の利便性を取る人たちのほうが多かったという結果になりました。また、自分の住む街でどんな都市計画が進められているのか、知らない人も非常に多いです。このような状況を改善し、一人ひとりが都市計画への意識を高めること、それがこれからの街づくりに一番必要なことだと言えます。
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