あなたのiPhoneはどこから来たの?
世界で評価と価値の一番高い企業は?
世界の企業ランキング評価は「時価総額」(企業の株価x発行済株式数)で測ることができます。トップ50社のうち約6割を占めているのが、アップルを始め、マイクロソフト、アマゾンなどのアメリカ企業です。2023年度に50位の中に入る日本企業はトヨタ自動車1社のみで、アップルと比較すると時価総額は約10分の1しかありません。アップルの主力製品であるiPhoneは他社スマートフォンより価格がかなり高いですが、年間およそ2億台が世界に出荷され、約10億人が毎日iPhoneを使っています。
世界がワクワクする製品を世界との協働でつくる
しかし、iPhoneはアメリカの国産製品ではありません。多様な国籍の700以上の企業が約2000個以上の部品を提供して、それを中国などで組み立てるという世界のネットワークであるサプライチェーンによって製造されています。例えば、カメラはソニー、半導体は台湾のTSMCというように世界最先端の技術がiPhoneに詰め込まれています。アップル社は、製品のコンセプトやソフトウエアのデザイン、「持つとワクワクする」イメージなどの付加価値をつけるマーケティングを主に担当しています。アップル社は、利益率の低い部品づくりや組み立てを他社に任せることで、販売利益の50%という高い利益を得ることに成功しています。
デザインから生産効率や販売までを考える
日本は、1980年代に品質の良い製品を生産する世界第二位の経済大国でしたが、その成功体験にとらわれ進歩することができなかったため、長い間経済が低迷しています。iPhoneにはその経済を元気にするヒントが隠れています。「品質が良い製品」の「ものづくり」だけでは、高い利益をあげることは難しくなります。世界中がワクワクするような製品をデザインし、世界のネットワークであるサプライチェーンを利用して、「効率良くつくる」「売る」ことまでを考えた一連のクリエイティブな思考パターンが日本の経済を元気にするはずです。
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先生情報 / 大学情報
京都先端科学大学 経済経営学部 経済学科 教授 清水 裕子 先生
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