災害に備え、地域住民主体で行う地域防災力の向上に向けた取り組み
求められる地域住民主体の防災体制
阪神・淡路大震災の経験から、自分の命は自分で守る自助と、自分たちのまちは地域のみんなで守る共助の大切さが再認識されました。道路などあらゆる交通手段が寸断され救助や消火の要請が集中する状況下で、すべての災害対応を行政のマンパワーだけに頼ることには限界があるからです。そこで従来の行政主導から、より一層地域住民と協働によるまちづくりが重要視され、防災活動においても地域・小学校区単位で取り組む自主防災組織づくりが積極的に進んでいます。
防災・減災に向けた事前準備とは?
今後発生が予測される災害に備え、行政は地域の防災力向上の方針を示していますが、その方法は多様であるため住民は自主的に大学などの教育・研究機関と協働して事前準備に取り組むようになりました。災害発生メカニズムの学習、高齢者や障がいのある人、外国人も含めた要配慮者対応の教育、避難訓練の実施、実際にまちを歩いて危険箇所を確認しながらの防災マップ作製、といった具体的な作業を専門家と共に行っています。地域で異なる住民のニーズをアンケート調査から把握し、その内容を可視化することで、住民同士の考え方の違いを認識すると共に、自分たちにとって重要なことだという危機感の意識づけも行います。
防災・減災のキーワードは記憶の風化
阪神・淡路大震災からかなりの歳月が過ぎ、被災地の住民でさえ記憶も危機感も薄れてきています。避難訓練の参加者も減り、食糧備蓄に対する意識も低下、行政から配布されたハザードマップの所在もわからない、という人がたくさんいます。その一方で、自らまちを歩いて作った防災マップを見える所に貼っている人は多く、避難所や病院の場所を家族で確認するなど意識の向上も見られます。防災に関する地域住民の取り組みは、住民同士の一体感を高め、共助意識の強化に繋がっています。東日本大震災の記憶を風化させまいと語り部が活動する地域があるように、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえた防災・減災に対する住民意識の向上が大きな課題です。
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先生情報 / 大学情報
宮城大学 事業構想学群 地域創生学類 准教授 石内 鉄平 先生
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