雪山の雪がとけたとき、どれくらいの量の水になるのか知りたい!
雪をしっかり監視する
日本は世界的に見ても雪が多い地域です。特に日本海側の山には毎年たくさんの雪が積もります。山に蓄えられた雪は、春になるととけて水になり、河川や地下へと流れていきます。
雪どけ水は、平野部では農業や工業、生活用水に使われる大切な資源ですが、急速な雪どけによって洪水や雪崩などの災害を引き起こす原因にもなります。雪山にどれくらいの雪が積もっているのか、またそれを水に換算するとどれくらいの量になるのかを調べることは、地域の水資源を把握するだけでなく、防災の面でも大切なのです。
深さだけじゃなく密度も大切
実際に雪をとかせば、その雪がどれくらいの量の水になるかを知ることができますが、雪だるま程度の大きさならともかく、雪山全体の規模ですと実験は困難です。やはり計算によって雪がどれくらいの量の水になるかを知る必要があります。
雪を水に換算したときの値を「積雪水量」と言いますが、これを計算するには、降り積もった雪の深さだけでなく、雪の重さ(密度)も調べないといけません。例えば同じ1メートルの深さの雪でも、降ったばかりのふわふわした軽い雪と、降ってから時間がたって踏み固められた重い雪では、とかしたときに得られる水の量が違います。この場合、降ってから時間がたった雪のほうが重い(密度が高い)ので、降ったばかりの軽い雪よりもとけたときに多くの水が得られます。
地道なフィールドワークで正確なデータを
科学技術が発達した現在、雪の分布状況は衛星を利用して比較的簡便に知ることができるようになりました。また、雪の深さに関するデータも豊富です。しかし、密度に関するデータは通常の気象観測では得られないので、より正確に積雪水量を知るためには、実際に現地に足を運び、雪の重さを量って密度を調べる必要があります。水資源や防災の観点から雪について考えるには、積雪に関する机上のデータだけでなく、このような地道なフィールドワークも不可欠なのです。
参考資料
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先生情報 / 大学情報
東京都立大学 都市環境学部 地理環境学科 教授 松山 洋 先生
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