「キャラクターの二次創作活動」に見る宗教性/スピリチュアリティ

「キャラクターの二次創作活動」に見る宗教性/スピリチュアリティ

アニメ・漫画・ゲームから発展した「キャラ活」

ファンが、アニメ・漫画・ゲームを、単に観たり読んだり遊んだりして楽しむだけでなく、登場人物のキャラクターに魅了されて何らかの働きかけをすることを「キャラ活」と呼びます(キャラクターの「二次創作活動」または「実体化する活動」の略)。具体的には、現代日本サブカルチャーにおいて定着している次の活動がメジャーなキャラ活だと言えます。
1)キャラが登場するイベントやライブ、催しに積極的にアクセス・参加すること。
2)キャラを、身をもって演じること(さりげなく日常世界において、またはコスプレのように堂々とイベントなどの非日常世界において)。
3)原作にない独自のストーリーやエピソードを創作し公表すること(同人誌などの紙媒体として、またはSNSなどのデジタル媒体として)。
4)原作とは若干異なる独自のイメージを絵やイラスト、動画として創作し公表すること。

キャラ活に見られる宗教性/スピリチュアリティ

キャラを二次創作する活動自体が「宗教」であるとは言い切れませんが、そこに「宗教的な原理(=宗教性/スピリチュアリティ)」が働いていることは、疑いの余地がありません。どういう原理かと言うと、キャラを通して「現実」と「理想」を結びつけようとするファンの意気込みです(宗教学では、前者を「日常/俗」、後者を「非日常/聖」と呼ぶ)。仏教やキリスト教といった世界宗教において、人々が預言者・教祖・聖人たちを偶像化し、個々の人生の模範・指針とみなすのと同じ原理です。

キャラ活と自己表現

人はなぜキャラ活を行うのでしょうか。本当の自分や個性をもっていないからでしょうか。キャラ活は「自分探し」の一環ですが、ファンは、原作のキャラに成り切ったり真似したりしているのではありません。それをヒントまたは雛形として、みずからの内面に秘められているキャラを発見し、引き出し、開発しようとしているのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

山口大学 人文学部 人文学科 教授 ジュマリ アラム 先生

山口大学 人文学部 人文学科 教授 ジュマリ アラム 先生

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宗教学、哲学

先生が目指すSDGs

メッセージ

私は宗教学を専門としています。現在、関心があるのは、「アニメ・漫画・ゲームをはじめとするキャラクターの二次創作活動に見る宗教性」というテーマです。このテーマからもわかるように、宗教学の対象は特定の宗教組織や教典にとどまらず、日常のあらゆる活動を通して人々がどのように精神世界を豊かにしたり、生活のなかで非日常的な経験をしたり、自己の内面を表現したりしているのかということを探究します。これはサブカルチャーの世界はもとより、スポーツ、芸能、趣味の世界にも通じます。あなたにも関わりがあるはずです。

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