介護をする家族の心のサポーターとは

介護をする家族の心のサポーターとは

介護をする家族のための教室って?

高齢者に多い認知症になると、患者もつらい状態になりますが、介護をする家族の負担も大きくなります。その家族の気持ちが安定すれば、患者の病状も安定すると言われています。
そのために心理職が取り組んでいるのが、家族を心理学的にサポートする「家族教室」です。家族教室の柱は、主に教育的支援と情緒的支援の2つです。教育的支援では、医師・ケアマネジャー・作業療法士などの専門家が、認知症についての知識や介護サービスの使い方、どのように患者に接したらいいかなどを伝えます。

介護の裏技を教え合い、支え合う!

情緒的支援では、患者の家族同士が話し合い、お互いの苦労や悩み、日常の具体的なノウハウを分かち合います。例えば、認知症があると感覚が変化し、痛み・味覚・満腹感・酔いなどを感じにくくなるので、食事やお酒を大量に取ることがあります。体に良くないのでやめさせようとしても、本人が興奮してパニックになることも少なくありません。そこでウイスキーをウーロン茶で、日本酒を水で薄めて飲ませるなどの工夫が生まれたのです。そのような具体的なノウハウは、実は専門家よりも一緒に生活している家族の方が豊富に持っています。
家族教室は、患者の家族同士が情報やノウハウを共有し、お互いにつながることで支え合い、「自分一人でがんばっている」という孤立感をやわらげる効果があるのです。

心理学の専門家は、考える場を提供する裏方

家族教室では、講師を選んだり、家族同士が集まる場をセッティングすることも心理職の役割の1つです。また、1対1で家族のカウンセリングをする場合も、何かアドバイスをするというよりは、本人に自ら話してもらいながら、本人自身の心の整理ができるよう手助けをすることが中心になります。本人に話してもらうためにどのように聴いたらいいかを考え、あくまでも本人に考える場を提供することが大切なのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。

先生情報 / 大学情報

椙山女学園大学 人間関係学部 心理学科 教授 鈴木 亮子 先生

椙山女学園大学 人間関係学部 心理学科 教授 鈴木 亮子 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

福祉心理学、臨床心理学

メッセージ

心理学は、人間が生まれてから死ぬまでを勉強する学問なので、大学卒業後の人生でも学んだことをずっと生かせます。例えばあなたが結婚して子どもが生まれれば、親として子どもを乳幼児期から見守りながら、学んだことが生かせるでしょう。
また心理の専門職に就かなくても、日常生活の中で、自分や他者がやっていることを題材にして、人の行動や気持ちを考えられることも魅力だと思います。どの年代においても人間関係が希薄で、相談相手が見つけにくい社会の中で、これから心理の専門家が心の支えになる場面がさらに増えてくるでしょう。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?

椙山女学園大学に関心を持ったあなたは

「わたしは、心理学を、社会に生かす。」
こころの不思議に科学的にアプローチし、こころの学びを社会に生かす。

社会で高まるこころへのニーズに応えるために、こころについて幅広く学び、その学びを社会に生かすことのできる人材を育成します。ストレスへの対処や対人関係の円滑化といった「心理学的マネジメント力」を習得。さらに、人の行動やこころに科学的にアプローチし、新たな提言を行う「心理学的デザイン力」を身に付けます。