心理学の手法で、子どもが見ている世界や思考を知る
子どもたちは何をどう考えているか
子どもでも特に、3歳から5歳くらいの幼児は、大人の予想を超えることを言ったり行動したりします。子どもなりに考え行動した結果であり、大人とは異なる思考をしているからです。そんな子どもたちは、どのように物事を見ているのでしょうか。成長にしたがってさまざまなことを理解していきますが、どのように発達していくのでしょう。その経過を読み解く手法のひとつが、子どもを対象とする心理学です。
数や言葉、空間にも子ども特有の見え方
例えば「0→10」という線を引き、「5はどこですか?」と質問すると、大人はすぐ「真ん中」を指すことができます。しかし、子どもたちはそうはいきません。
実験として、子どもたちの数や量の感覚を調査すると、3歳児は答えられない子が多いです。4歳児は、左から「1、2、3」と数えて「ここ」と指すようになりますが、ずいぶん左に寄っています。5歳児でようやく、10の側からも数えるなどして、正しく導き出そうとします。10まで数えられても、その意味を理解しているかは、また別問題なのです。
こうした検証をすると、数の概念のほかに、言葉や文字、空間の認識においても、子ども特有の見え方があることがわかります。調査や観察を通じて、思いもよらない力を秘めている子どもの可能性を知ることにもつながります。
心理を知ることが子どもと向き合う第一歩
数や言葉などの認識において、年齢別の標準値が明確になれば、個々の成長や発達の目安として役立ちます。子どもが見ている世界を理解すると、保育や教育の現場、家庭での子育てでも、子どもとの向き合い方が違ってきます。近年は発達障がいの子どもが増えていますが、脳科学の発展により臨床的な解明が進んでいます。そして、障がいのある子どもたちの考えや心の動きを知るのも、心理学の領域です。そうした、多彩な個性を認め合う多様性を育てるためにも、医学と心理学にまたがる学際的な学びがますます重要になっているのです。
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椙山女学園大学 人間関係学部 心理学科 准教授 浦上 萌 先生
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