将来ソフトな素材でできたウェアラブルなロボットが登場する!?
伸び縮みする材料をロボットに
あなたはロボットと聞くとどんなものを想像しますか? 多くの人が、アニメやゲームのバトルシーンに登場するものや、家で活躍する自動掃除機などを思い浮かべるでしょう。そういったロボットは、モータやエンジンの力で金属の部品が動く機械です。部品と部品の位置変化で力学的な力を作り出しています。しかし、生き物は筋肉などが変形して動きます。ロボットの設計・製作や運転に関する研究を行うロボティクスの分野でも、電気に応答して伸び縮みする高分子材料を使った、生き物のような柔らかい「ソフトロボット」作りをめざしています。
ソフトロボットは細かく切っても大丈夫
モータやエンジンなどは半分に切ってしまうと動きません。ところが、ソフトロボットは半分に切っても動けます。高分子材料の動きのメカニズムは分子レベルだからです。いくら小さく切っても分子までは到達しないので、切る前と同じように動くことができるのです。このことから、ソフトロボットは小さくなるのが得意です。
医療では血管が詰まるとカテーテルというものを血管に通して手術をします。医師は少し先端が曲がったカテーテルを操作しますが、血管に傷をつける危険性もあります。このカテーテルを先端が少し動くようなソフトロボットで作れば、小さくなるのが得意ですから、血管の中に入ることも容易です。
ブヨブヨしたウェアラブルなロボットも
ゲル状のブヨブヨした材料で、刺激を与えると伸び縮みするものがあります。これをシートにして体に貼り付ければ、出したい力をアシストしてくれるものになるかもしれません。現在は機械を利用したパワースーツが介護の分野で取り入れられていますが、将来はもっと体にフィットしたものになるでしょう。
実用化はまだ先の話ですが、日本では世界に先駆けていろいろな材料やメカニズムの研究が行われています。近い将来、今までの概念を覆すソフトでウェアラブルなロボットが登場するでしょう。
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先生情報 / 大学情報
山梨大学 工学部 応用化学科 教授 奥崎 秀典 先生
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