脳波を解析することで、24時間健康管理できる時代が来る?
頭でイメージするだけでゲームを操作できる?
現在のパソコンは通常、マウスやキーボードを使って操作しますが、人間の脳波によってある程度の操作ができるところまで技術が進歩しています。この技術はゲームなどにも応用が可能で、コントローラを使わずに頭の中でキャラクターの動きを想像するだけで簡単な操作が可能です。さらに個人の脳波だけでなく、複数人の脳波を組み合わせることで、より操作の精度が上がることもわかってきました。集団で各自がバラバラなことを考えている場合よりも、皆で協力して同じことを考えると操作の精度が向上するのです。これは他人同士が同じことを考えることで、ノイズが消えて脳波がきれいな波形を描くようになるからで、「集団脳波解析」という技術です。
指紋に代わる新しい生体認証としての脳波
脳波は、指紋に代わる新しい生体認証としての可能性も秘めています。脳波にも人それぞれの波形の特徴があり、脳波の形を見るだけで個人の識別も可能です。人間のストレスは心臓の動きを計測することで分析できますが、近い将来は脳波を解析してもストレスの状態がわかるようになるでしょう。現在、脳波センサの普及に向けて、多方面から研究が行われています。
ウェアラブルな脳波センサで健康状態を管理
脳波を計測しても、体内に発生したがん細胞などは発見できませんが、加齢による注意力の低下や、精神的な疾患の兆しなど精神面の変化が読み取れます。また、脳波で操作のできる電動車椅子があれば身体機能が弱った人でも問題なく乗りこなすことができるので、多くの人にとって暮らしやすい世の中になるでしょう。
脳波を読み取るセンサの機能性の向上に加え、脳波をはじめとする生体信号を分析するAI(人工知能)の精度を高める研究も進められています。脳波を日常的にモニタリングすることで人々の健康状態を細部にわたって把握する技術は、高齢化の進む日本において多くの人々の助けとなるでしょう。
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富山県立大学 情報工学部 情報システム工学科 (※2024年4月工学部から再編) 教授 唐山 英明 先生
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