AIとロボティクスにもとづく新たな知能ロボットの実現へ
布のふるまいを予測して衣類をたたむ
知能ロボットとは、まわりの状況を適切に理解し、適切に行動できるロボットです。例えば、タオルやTシャツなどを自動で畳むロボットがあります。このロボットは、センサを使って対象物の位置・形・大きさを認識し、つかむ位置や持ち方、作業手順を決めることができます。タオルの場合は、二等分線を両手でつまんで持ち上げる動作を二回繰り返すと四つ折りになります。ところが、つまむ位置や方向を変えると均等な四つ折りではなくなります。つまり、どう操作するかによって布の形はさまざまに変わります。そこで、さまざまな形から別の形を自在に作ることができるように、「ある形の布にある操作を加えると、どんな形になるか」を予測できる能力を実現しました。これには、AI技術の一つであるディープラーニング(深層学習)を利用しています。
災害救助や農作業を支援する役割も
衣類をたたむロボットは、生活支援や介護の現場で活躍することが期待されますが、シチュエーションや対象物が変われば、知能ロボットは別の役割を果たします。災害現場ならば、ロボットは倒壊した建築物の中に入って負傷者を捜索できます。農場であれば、野菜の収穫を行います。ホウレンソウやキャベツ、レタスなどの産地である長野県では、地元のニーズに応えた農業ロボットが開発されています。いずれのロボットも、センサでまわりを観測し、理解して動きます。つまり、認識・判断・行動を自己決定するという一連の流れは変わりません。
複雑な作業もできるようになる?
人間は、認識・判断・行動の速さや正確性を「学び」によって高めていくことができる賢い生き物です。同様の賢さをロボットにもたらすことができれば、ロボットの存在意義は高まります。人が一回やってみせれば、ロボットも同じ作業をできるようになることが一つの理想です。衣類をたたむ知能ロボットはまだ単純な作業しかできませんが、学習能力が高まれば、そう遠くない将来、ボタンはめなどのもっと複雑な作業もできるようになるでしょう。
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先生情報 / 大学情報
信州大学 工学部 機械システム工学科 准教授 山崎 公俊 先生
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