変わりゆく学校の、「先生」に寄り添う心理学
大きな変化の時代に必要な教育とは
国の統計によると、小中学校での不登校児童生徒数が年々増え続けて30万人に迫る勢いです。学校に行かない・行けない理由も多様化しました。これには社会の変化が大きく関わっており、いつの時代も学校には社会のあらゆる課題が反映されていると言われます。義務教育を終えたあと、通信制高校を選択する人も増加しており、大きな変化に直面しています。それらに伴い、これまでの「通う」仕組みの学校教育がどのように変わっていけるかが課題となっています。
チームによる援助
多様化する課題を抱える学校において、子どもたちの豊かな学びのために、国の方針で「チーム学校」の取り組みが進められてきました。子どもたちが「おびやかされない」「安心できる」環境をいかに作り出すことができるかはポイントの一つです。学校心理学では、子ども個々の援助チームとして保護者と担任の教員、スクールカウンセラーなどの「コア援助チーム」、援助資源となる教員を含めた「拡大援助チーム」、外部の専門機関も加わった「ネットワーク型援助チーム」の3段階で構成されます。学校で「人を支援する」課題解決には、「学校心理学」という特化した分野が欠かせません。これは応用心理学の一分野で、教育学と心理学が融合したものです。取りこぼさない仕組みの中で、重要な知識や技術となります。
自分を知ることが始まり
子どもたちの支援のために、教員、保護者、専門家などが「対等なパートナー」としてチームを組むため、そこに関わる学校心理学の専門家もまた、メンバーを対等にバックアップします。その際、支援者の「自己理解」を促すことも大切にします。人の支援に関わる心理学は、自分の価値観、短所や苦手さ、ネガティブな感情などの背景を上手に考えられるように導くもので、多様な視点が得られ、他者を理解して受け入れやすくなるといった変化ももたらします。教員、保護者を含めた関係者が「上手に悩める」ようになれば、苦戦している子どもたちへの援助は大きく一歩踏み出すことになります。
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先生情報 / 大学情報
信州大学 教育学部 心理支援教育コース 准教授 茅野 理恵 先生
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