講義No.09459 経済学

災害時に株価上昇? マクロ経済から資産運用やリスク回避を考える

災害時に株価上昇? マクロ経済から資産運用やリスク回避を考える

大きなスケールで経済を考える「マクロ経済学」

経済学には「ミクロ経済学」と「マクロ経済学」があります。ミクロ経済学は、個人や企業などの行動を集め、そこから経済を考えるのに対し、マクロ経済学では、国や世界全体など、大きな規模のものから俯瞰(ふかん)的に経済を分析します。またマクロ経済学は、数年あるいは数十年など、長い期間での動きを見ていきます。両者は別個のものと思われがちですが、ミクロの集積としてマクロを考えるという手法が取られることもあります。

経済成長を考えれば、銀行預金より株がお得?

近年、日本政府は、貯蓄より投資を行うよう国民に勧めており、NISA(少額投資非課税制度)やつみたてNISAの制度を作りました。実際、株の収益率は高く、日本やアメリカなどの場合、銀行預金と株の収益率は、50年間保有するとして、年率で5~6%違います。この年率であれば、十数年で元金が2倍になります。銀行に預けていただけの人と、株に分散投資をして運用していた人では、大きな資産格差が生じるのです。

戦争や金融恐慌など、大災害時に株価は上がる?

とはいえ、株には、倒産や株価下落をはじめ、さまざまなリスクがあるのも事実です。そのため、エクイティ・リスク・プレミアムといって、銀行預金の利息などよりも高い収益率が期待されます。また、第二次世界大戦や大恐慌、大災害にも大きな影響を受けます。こうしたときには、大暴落になりそうなイメージがありますが、第二次世界大戦のときは、開戦直後にフランス、ベルギーなど、当時ドイツに占領されていた国の株価は上がりました。もちろん、GDP(国内総生産)は縮小し、会社を個別に見ると株価が下がったところもありましたが、全体としては上がったのです。今後の大災害発生時にも、同じ動きが起こるかはわかりませんが、こうしたことを知っておくと、資産運用やリスク回避に役立てることができます。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。

先生情報 / 大学情報

成蹊大学 経済学部 経済数理学科 教授 鈴木 史馬 先生

成蹊大学 経済学部 経済数理学科 教授 鈴木 史馬 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

マクロ経済学

メッセージ

大学で勉強することの意義は、体系的、論理的に筋道を立てて物事を考える力を身につけることにあります。学ぶ対象は、文学でも歴史でも経済でも、何でもよいです。仕事に役立つから、就職に有利だからという理由ではなく、自分の興味に基づいて選んでください。何も見つからない人は、その時々で面白いな、楽しそうだなと思うところに飛び込んでみるといいでしょう。
大学では、学問を通して、さまざまな教養も身につきます。人生を豊かに過ごすためにもぜひ、大学で自分の学びを深めてください。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

成蹊大学に関心を持ったあなたは

成蹊大学は、経済学部・経営学部・法学部・文学部・理工学部からなる総合大学です。文系・理系のすべての学生が4年間、緑豊かな吉祥寺のキャンパスで過ごすので、所属学部以外の友人との交流や学年を越えたネットワークづくりも可能です。また、先生との距離が近く学生一人ひとりの個性を尊重する少人数教育やキャリア教育が充実しています。さらに、2020年度より、各自が自分の興味関心やニーズに沿った学習を進められるよう副専攻制度を設けます。詳細は成蹊大学ホームページをご確認ください。