災害時に株価上昇? マクロ経済から資産運用やリスク回避を考える
大きなスケールで経済を考える「マクロ経済学」
経済学には「ミクロ経済学」と「マクロ経済学」があります。ミクロ経済学は、個人や企業などの行動を集め、そこから経済を考えるのに対し、マクロ経済学では、国や世界全体など、大きな規模のものから俯瞰(ふかん)的に経済を分析します。またマクロ経済学は、数年あるいは数十年など、長い期間での動きを見ていきます。両者は別個のものと思われがちですが、ミクロの集積としてマクロを考えるという手法が取られることもあります。
経済成長を考えれば、銀行預金より株がお得?
近年、日本政府は、貯蓄より投資を行うよう国民に勧めており、NISA(少額投資非課税制度)やつみたてNISAの制度を作りました。実際、株の収益率は高く、日本やアメリカなどの場合、銀行預金と株の収益率は、50年間保有するとして、年率で5~6%違います。この年率であれば、十数年で元金が2倍になります。銀行に預けていただけの人と、株に分散投資をして運用していた人では、大きな資産格差が生じるのです。
戦争や金融恐慌など、大災害時に株価は上がる?
とはいえ、株には、倒産や株価下落をはじめ、さまざまなリスクがあるのも事実です。そのため、エクイティ・リスク・プレミアムといって、銀行預金の利息などよりも高い収益率が期待されます。また、第二次世界大戦や大恐慌、大災害にも大きな影響を受けます。こうしたときには、大暴落になりそうなイメージがありますが、第二次世界大戦のときは、開戦直後にフランス、ベルギーなど、当時ドイツに占領されていた国の株価は上がりました。もちろん、GDP(国内総生産)は縮小し、会社を個別に見ると株価が下がったところもありましたが、全体としては上がったのです。今後の大災害発生時にも、同じ動きが起こるかはわかりませんが、こうしたことを知っておくと、資産運用やリスク回避に役立てることができます。
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先生情報 / 大学情報
成蹊大学 経済学部 経済数理学科 教授 鈴木 史馬 先生
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