「みんな」の意識や行動を、データで解き明かす

「みんな」の意識や行動を、データで解き明かす

コミュニケーションから人間の心理を解き明かす

心理学というと、カウンセリングで人の内面を探ること、または「あなたは○○タイプ」と性格を分類することなどを想像するかもしれません。しかし社会心理学は、人々の考えや行動を、個人の内面(性格)だけでなくその人が置かれた状況からも探っていく学問です。
例えば誰かと話すとき、「相手が何者か」や「どんな話題か」によって、話す態度や内容を変えていませんか。会話を丁寧に読み解けば、人々の考えや行動の特徴が見えてきます。また、SNSでのコミュニケーションは対面と違うと感じたことはありませんか。会って話せば、表情や声のトーン、身ぶり手ぶりなどを盛り込んでメッセージを伝え合うことができます。しかし文字のやりとりだと、「LINEの既読スルーに悩む」といった問題が起きたりします。周囲の評価を気にして、自分で自分を追い込んだり、悪いことをして「炎上」してしまったりすることもあります。それがSNSという「状況」の力なのです。

なぜあの人に?投票から人間の心理を解き明かす

選挙で有権者が候補者の何を見て投票しているかも、社会心理学の研究対象です。投票は国民の権利ですが、普段から政治に興味を持つ人は少ないです。だからこそ、そんな人たちがどうやって投票先を決めるかを研究するのが面白いのです。こうした人々の意識や行動をとらえる方法を社会調査と呼びます。数年にわたって何度も同じ人に調査をして変化を観察することもよくあります。これをパネル調査と呼びます。

人間心理を解き明かすデータサイエンス

このように、社会心理学の研究テーマは親しい友だち同士の会話から政治に至るまで、とても幅広く多面的です。共通するのはそれらがすべて「社会の中で起きているできごと」に関わる心理だということ。多様な研究テーマを、会話内容の分析やアンケート調査、あるいは実験などによって集めたデータを手がかりに読み解くのが社会心理学なのです。つまり、誰しもが抱くような社会に関する疑問に挑むデータサイエンスなのです。

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先生情報 / 大学情報

大阪大学 人間科学部 行動学科目 社会心理学分野 教授 三浦 麻子 先生

大阪大学 人間科学部 行動学科目 社会心理学分野 教授 三浦 麻子 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

社会心理学

先生が目指すSDGs

メッセージ

思い返せば10代の頃の私は、何か「自分」というものが定まらない、「今の自分は本当の自分じゃない、本当の自分ってどんな人間なんだろう」と考えたりしてしまう、とても不安な時期を過ごしていました。
ただ、自分のやりたいこと、やった方がいいと思うことにチャレンジできる機会や環境があるなら、やっておいた方がいいと思います。人間、何事も積み重ねで決まるところがあるのは確かで、周囲が与えてくれるいろいろなものが「あなた」を形作っているはずです。自分に刺激を与えてくれる「場」を求めてほしいと思います。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

大阪大学に関心を持ったあなたは

自由な学風と進取の精神が伝統である大阪大学は、学術研究でも生命科学をはじめ各分野で多くの研究者が世界を舞台に活躍、阪大の名を高めています。その理由は、モットーである「地域に生き世界に伸びる」を忠実に実践してきたからです。阪大の特色は、この理念に全てが集約されています。また、大阪大学は、常に発展し続ける大学です。新たな試みに果敢に挑戦し、異質なものを迎え入れ、脱皮を繰り返すみずみずしい息吹がキャンパスに満ち溢れています。