データを分析し社会に切り込む「データサイエンス」とは?
データサイエンスとは
現代は多岐にわたる事象や行為がデータ化されています。その膨大なデータを使って、さまざまな意思決定に貢献するのが「データサイエンス」です。データを分析するには、数学や統計といったデータアナリティクス、アルゴリズムやデータベースなどのデータエンジニアリングの知識や技術だけでは足りません。社会調査やビジネス力など、課題を把握して価値を創造するための複合的な力が必要になります。
社会保障を分析する
例えば、社会保障についてもデータサイエンスを用いて分析することができます。私たちは病院に行くときに保険証を持っていきます。健康保険の仕組みは、大人なら本人、学生なら保護者が保険料を支払うことで、病院への支払いが実際の医療費の3割程度で済むというものです。残りの7割の医療費は保険組合が病院に支払います。このとき、病院はレセプトといわれる請求書を作成しています。このデータを分析すると、病院へ行った人数や、医療費の総計、男女比、年齢層、治療日数などを知ることができます。レセプトは月ごとにまとめられ、集計されたデータであれば誰でも入手することが可能です。
データサイエンティストに必要な力
しかし、ただデータを見るだけでは何も解決できません。課題が何かを絞った上でデータを見ることで、初めてそのデータが生きてくるのです。例えば、「予防医療に予算をかけることで、医療費や通院日数にどう影響が出るのか」「組合によって差が大きい出産時の一時金について、支給額が高額なほど出生率は上がっているのか」など、現在の世の中の関心に沿った目線で見ることで、分析したデータから社会課題の解決の糸口をつかむことができるのです。
データ分析の専門家であるデータサイエンティストにとっては、データがあるから分析するという一方向ではなく、自分で社会の課題を探し出し、そのためにはどんなデータが必要なのかを考える力をつけることが大切なのです。
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専修大学 ネットワーク情報学部 ネットワーク情報学科 准教授 河野 敏鑑 先生
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