期間限定セール! あなたは買いますか?
「マーケティング」とは
現代はモノがあふれています。多くの人が必要なモノ、欲しいモノをすでに所有している成熟した市場の中で、商品を買ってもらうことは簡単ではありません。毎日多くの広告を目にしますが、注目するのは5%程度であるとも言われています。そこで企業は、さまざまな手段で商品を買ってもらおうと努めています。このような、買ってもらうための仕組みづくりのことを「マーケティング」と言います。広告やセール、ポイント付与などは私たちがよく目にする具体例です。
タイムセールがめざす「希少性」
その中で、よく目にするのがタイム(期間限定)セールです。特に膨大な商品があるEC(電子商取引)サイトでは、特定の商品を目立たせるのは至難の技です。しかし、販売する期間を限定し、大幅に価格を下げれば消費者の注目を集めることになります。この方法で販売側がアピールしたいのは「希少性」です。「この商品をこの価格で買えるのは今しかない」と訴えることで、消費者の購買意欲を喚起しようとします。もちろん、このようなセールをしなくても、通常価格で購入する人は一定数存在します。タイムセールで購入しようと考えるのは、商品を買うか買わないか迷っている層と言えます。
タイムセールには非合理的な要素も
この方法は、消費者に対して「タイムプレッシャー」をかけています。脳科学では、この概念は脳を活性化させるための手段と考えられていますが、マーケティングでは消費者を迷わせる要素です。時間があれば、類似商品との比較など冷静な判断ができますが、「タイムプレッシャー」がそれを難しくします。ただ、残り時間の変化に対して、消費者の感じるタイムプレッシャーがどう変化するかは、まだ詳しくはわかっていません。また、商品価格や商品の種類によっても、その変化は違うと考えられます。「安いから買う」というのは合理的な判断ですが、タイムセールにはそれだけではない非合理的な要素が存在しているようです。それを明らかにするのは、これからの課題です。
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先生情報 / 大学情報
高崎経済大学 経済学部 経営学科 准教授 三富 悠紀 先生
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