借金未払いが許された? 経済危機を生き抜いたロシアの戦略とは
企業の未払いを許容していた1990年代
ソ連崩壊後の1990年代のロシアでは、企業の取引先や銀行などへの未払い問題が発生しました。企業は取引をするとき、通常はすぐにお金を払わず後日、精算します。しかしロシアでは、精算期日になってもお金が払えないという状況が続いたのです。もし日本でこのような事態が起これば、未払い金を抱えた企業は破産させられます。しかし、ロシアでは多くの企業が負債を抱えていたので、未払いを事実上、容認していました。そうしなければ社会が機能しなくなってしまうからです。表面上は社会主義から資本主義に移行したように見えても、人々のメンタリティ(精神性)や習慣はすぐには変化していなかったのです。未払い問題が起きたとき、人々はあえて昔の社会主義的なメンタリティを維持して、ソ連崩壊と資本主義の流入のような大きな外的ショックから社会を守ったと言えます。
ロシア支援に隠されたアメリカの思惑
ロシア経済の混乱は、国内以外にも原因があると考えられています。冷戦後、アメリカはロシアを支援するという名目のもと、資本主義や民主主義を積極的に押し付けてきました。アメリカ側の視点でロシアを研究すると、「ロシアがソ連時代のように敵対しないよう、経済を利用して国力を弱体化させよう」というアメリカの思惑が見えてきます。
たばこ産業と経済の関係
アメリカには、大資本と呼ばれるたばこ産業があります。一方、ロシア(ソ連)では国がたばこ産業を運営することで大きな税収を得ていました。ソ連崩壊後の混乱に乗じて、アメリカはロシアのたばこ産業をはじめとする大事業を民営化させ、ロシアの経済や政治に影響を及ぼそうとしました。
しかし、2000年にプーチンが大統領に就任すると、アメリカの経済政策をまねることで国力の差を縮め、ソ連時代の国力を取り戻そうとする流れが生まれました。今後、プーチン大統領がどのような動き方をして国の針路を決めていくかということは、ロシア経済を研究するうえで重要な視点となっています。
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先生情報 / 大学情報
帝京大学 経済学部 国際経済学科 教授 杉浦 史和 先生
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