微生物の99%が謎だらけ? ~未知の微生物を探ろう~
全体の1%未満しか解明されていない微生物
腸内フローラという微生物の集団をテレビなどで見たことがあるでしょう。実は、体内で腸内フローラが活動している様子は、研究室ではまだ再現されていません。研究を深めるためには微生物が好む環境を再現し、研究室で培養することが必要になります。しかし微生物の生息環境には不明な点が多いため、培養は容易ではありません。ですから、2018年までに研究されてきた微生物は全体の1%にも満たず、まだ手をつけることができていないものがたくさんいるのです。
次世代社会の鍵を握る微生物!
発酵という言葉を聞くことが多くなってきています。日本には、多くの発酵食品がありますが、微生物の営みの結果、もたらされるギフトです。この発酵のメカニズムは、多くのことが未だに解明されていません。自然界では多くの微生物が共存して生きており、そのコミュニケーションを知ることは大変難しいからです。
脱石油時代が到来しています。これまでにバイオ産業で利用されている微生物は全体の1%未満であることから、医学、農学、工学、環境など多くの分野において、未だに解明されていない新たな微生物の力が、次世代社会の鍵を握っています。
微生物を1匹見つけるためにかかる費用は?
一方で、バイオ産業に役立つ1匹の微生物を100万匹の中から見つけるとすると莫大な費用と期間がかかります。企業で研究すると数億円以上かかるといわれるほどです。これまでは、例えば「お酒をおいしくする酵母がほしい」などの目的ごとに微生物を探していました。しかしそれでは、発見できるのは目的とする機能を持った一部の微生物に偏ってしまい、探索がなかなか進まないという問題があります。目的を限定せずに誰でも微生物を見つけることができるよう、発見方法のブレークスルーが求められています。
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長岡技術科学大学 工学研究科 技術科学イノベーション専攻 教授 小笠原 渉 先生
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