装置を活用して命を支える臨床工学技士とは?
腎臓病患者を支える医療技術とは?
腎臓は、血液中の老廃物や水分を排出する働きをしています。肝臓も、たんぱく質や脂質および糖質の合成や貯蔵と老廃物や有害物質などを分解する働きをしています。腎臓や肝臓の病気になって、これらの働きができなくなると、人間は生きていけません。そこで腎臓の働きを代替する装置を使った「人工透析」治療を行います。血液透析とは、100万分の1ミリレベルの穴があいたストロー状の糸を束ねた装置を使い、穴の中に血液を、外に透析液を流し、その濃度差や圧力差を利用して、老廃物や水分を血液から透析液に移動して排出する仕組みです。この装置を主に操作し、管理するのが臨床工学技士です。
透析治療にはカスタマイズが必要
人間の腎臓や肝臓は24時間ずっと働いていますが、透析で血管と装置を24時間つなげたままでは、患者さんは質の高い生活を送ることはできません。そこで通常は1度に4~5時間、週に3回ほどの血液透析を行います。その時に臨床工学技士は、患者さんに合ったサイズの装置や回路を機械に正確にセットアップして血液流量など、さまざまな条件設定を行います。
例えば、若い人では新陳代謝が活発で栄養素の摂取にともない多くの老廃物が産生されますが、食事のとれない高齢者では産生量が少ないのであまり抜かないようにするなど性能の異なった透析器を選択します。また心臓機能の弱い人には、血液の流量やスピードを抑えるように工夫します。
臨床工学技士の仕事は装置の操作だけじゃない!
動脈と静脈をつなげたシャントという特別な血管に針をさす医療行為も臨床工学技士の仕事の1つです。材料のアレルギーや菌による合併症、血圧低下などに留意しながら、患者さんに合った透析を考え、臨床データを読み解きながら、効率のよい透析をめざします。
そして、臨床工学技士は装置を扱うだけではなく、チーム医療の一員として医師や看護師と協力すること、透析の説明や治療を通じて患者さんと信頼関係を築いていくことも求められています。
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藤田医科大学 医療科学部 医療検査学科 准教授 大橋 篤 先生
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