講義No.09808 看護学

出産は試練ではない! ~納得できる出産のために~

出産は試練ではない! ~納得できる出産のために~

「出産」のイメージ

あなたは「出産」に対して、どのようなイメージを持っていますか? 「幸せ」などのポジティブなイメージですか? 女子学生を対象としたアンケート調査では、約半数がポジティブな反応でした。しかしあとの半数近くが痛い、怖い、しんどいなどネガティブな反応だったのです。中には女性に生まれて損だという意見もありました。確かに出産は痛みをともないます。でもそうしたネガティブなイメージは、いったいどこからくるのでしょう。そしていつから抱くものなのでしょうか。

出産は試練ではない

日本では、昔から出産に対して「痛みをこらえてこそ母親になるもの」と、まるで試練をともなう儀式のように考える傾向があります。そして現代になっても、そのように考える女子学生がいるのです。それが、日本で麻酔による「無痛分娩(ぶんべん)」が普及しない原因の1つと推測されます。「痛みを我慢してこそ母親」という考えは、「痛みを封じて産むと、母親になれない」という考えを含んでいます。しかし決してそのようなことはありません。むしろ痛みをともなうと危険な場合もあります。
痛みへの耐性が低い女性の場合、自然分娩中にパニックを起こすことがあります。すると出産後に「自制心が効かなかった、うまくお産できなかった」と、心にダメージを負うケースがあるのです。そのためお産後、助産師は「分娩の想起」と呼ばれるケアを行います。元気な赤ちゃんを産めたあなたは素晴らしいと、女性の自己肯定感を高めるもので、特に心のダメージを受けた女性にはその後の育児や、2人目3人目の子どもを産み育てるためにも必要です。

女性が納得できる出産を

分娩の痛みを怖がる女性のためにも、もっと無痛分娩のハードルが低くてもいいのです。今は分娩にもさまざまな選択肢があるので、本人が選択に納得した上で出産に臨むべきでしょう。出産は1つの通過点に過ぎません。大切なのは、その後何年も続く育児への良いスタートを切ってもらうことなのです。

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先生情報 / 大学情報

四條畷学園大学 看護学部 看護学科 准教授 江島 仁子 先生

四條畷学園大学 看護学部 看護学科 准教授 江島 仁子 先生

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看護学、助産学

メッセージ

看護師は、とてもやりがいのある仕事です。白衣を着て病院内で勤務するのが一般的なイメージですが、中には特定分野のスペシャリストとして認定看護師や専門看護師として活躍する人や、看護管理を学び看護師長や看護部長などマネジメントで活躍する人、また訪問看護や看護師の免許をベースに保健師として地域や企業の中で活躍する人、さらに、海外協力隊やJICA(国際協力機構)で被災地などに赴く国際看護師や、研究者の立場から看護に携わる人もいます。
看護師資格を取った後も、さまざまな道があるのです。

先生への質問

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医療技術者(理学療法士・作業療法士・看護師)を養成する大学です。リハビリテーション学部は、学生にとって魅力あるカリキュラム編成と100を超える実習施設が整っており、国家試験合格実績も着実に伸ばしています。また、小規模だからこそ実現できる教員・学生間の親密さが国家試験合格までの懇切丁寧な指導につながっています。看護学部は、取得資格を看護師一本に特化したことによりカリキュラムを充実させました。講義・演習→実習という学修サイクルを形成し、より深い理解につなげ、実践力のある看護師の育成をめざします。