出産は試練ではない! ~納得できる出産のために~
「出産」のイメージ
あなたは「出産」に対して、どのようなイメージを持っていますか? 「幸せ」などのポジティブなイメージですか? 女子学生を対象としたアンケート調査では、約半数がポジティブな反応でした。しかしあとの半数近くが痛い、怖い、しんどいなどネガティブな反応だったのです。中には女性に生まれて損だという意見もありました。確かに出産は痛みをともないます。でもそうしたネガティブなイメージは、いったいどこからくるのでしょう。そしていつから抱くものなのでしょうか。
出産は試練ではない
日本では、昔から出産に対して「痛みをこらえてこそ母親になるもの」と、まるで試練をともなう儀式のように考える傾向があります。そして現代になっても、そのように考える女子学生がいるのです。それが、日本で麻酔による「無痛分娩(ぶんべん)」が普及しない原因の1つと推測されます。「痛みを我慢してこそ母親」という考えは、「痛みを封じて産むと、母親になれない」という考えを含んでいます。しかし決してそのようなことはありません。むしろ痛みをともなうと危険な場合もあります。
痛みへの耐性が低い女性の場合、自然分娩中にパニックを起こすことがあります。すると出産後に「自制心が効かなかった、うまくお産できなかった」と、心にダメージを負うケースがあるのです。そのためお産後、助産師は「分娩の想起」と呼ばれるケアを行います。元気な赤ちゃんを産めたあなたは素晴らしいと、女性の自己肯定感を高めるもので、特に心のダメージを受けた女性にはその後の育児や、2人目3人目の子どもを産み育てるためにも必要です。
女性が納得できる出産を
分娩の痛みを怖がる女性のためにも、もっと無痛分娩のハードルが低くてもいいのです。今は分娩にもさまざまな選択肢があるので、本人が選択に納得した上で出産に臨むべきでしょう。出産は1つの通過点に過ぎません。大切なのは、その後何年も続く育児への良いスタートを切ってもらうことなのです。
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先生情報 / 大学情報
四條畷学園大学 看護学部 看護学科 准教授 江島 仁子 先生
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