プレコンセプションケアで、未来を見据えた健康な体づくり
プレコンセプションケアとは?
「プレコンセプションケア」とは、将来の妊娠を見据えて、女性やカップルが生活習慣や健康管理に取り組むことです。妊産婦の死亡率に関しては、日本は世界でもトップレベルの低さを誇ります。ただし、妊娠や出産には流産や先天異常などのさまざまなリスクが伴い、現代的な生活習慣や出産の高齢化によってそのリスクは増加傾向にあります。これらのリスクの回避は妊娠に気が付いてからでは遅いため、いつか妊娠することを考えて、早い時期からのプレコンセプションケアが重要です。
無自覚な冷え
プレコンセプションケアの基本は生活習慣の見直しです。毎日バランスの良い食事をとり、適度な運動により適正な体重を保つなど、自分の体調を正しく知ることが大切です。中でも体の「冷え」は見落とされがちです。冷えは、妊婦の体調不良や不妊の要因にもなるものです。冷えを感じて暖かい服を着るなどの対策ができていればよいのですが、自覚がないまま放置してしまうと体に悪影響を及ぼしかねません。そこで若年期の女性の冷えの状態を可視化するために、深部体温を測定して、冷えをどれくらい感じているかを聞き取る調査が行われました。すると、深部体温は低いのに、冷えを感じていない人が一定数いることがわかりました。さらに、こうした自覚のない人に運動の実施などのセルフケアを行ってもらい、1カ月単位で測定を続けたところ、少しずつ改善が見られたという結果も出ています。
未来の健康につながる
冷えの例のように、若い頃ほど自分の健康に無自覚になりがちです。特に日本人は他国に比べて健康意識が低く、若年層に発症が多い子宮頸(けい)がんのワクチン接種率も非常に低い状況にあります。将来の妊娠や出産を早い時期からライフプランに組み込むことは難しいかもしれません。しかし、生活習慣が固定化する前の若い頃が改善できるチャンスです。プレコンセプションケアに取り組むことは、若者たちの健康的な未来につながるのです。
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先生情報 / 大学情報
金沢大学 医薬保健学域 保健学類 教授 鏡 真美 先生
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