体のくせを修正し、選手のけがを予防する最新トレーニングとは?

体のくせを修正し、選手のけがを予防する最新トレーニングとは?

スポーツ選手のけがは予測できる?

観客を含めたスポーツ活動の安全環境を構築することを「スポーツセーフティー」と言います。スポーツ選手だけでなく、支える側、提供する側の心得として重視されています。
その中には選手のけが予防も含まれます。選手のけがは、アクシデントによるものと動きのくせで生じてしまうものの2つに大別されます。後者はいつの間にか痛くなっているようなけがの原因にも関連していて、予防できる可能性があります。全身はつながっているので、例えば足首が痛いからといって足首だけに原因があるのではなく、肩の動きに起因していることもあるのです。「予測評価ツール」を用いて全身を包括的に見ると、どの部位に問題があり、けがを生じやすいか予測できるようになってきました。今まさにその検証が行われています。

修正エクササイズで左右差をなくせ!

日常生活のかばんの持ち方など誰もが体のくせを持っています。くせは体幹の使い方、柔軟性の低下などから左右差となって現れます。そのまま激しいスポーツをしてしまうと、繰り返しけがに悩まされることにもなりかねません。最近の研究で、筋力が発達してくる中学2、3年生頃から動きのくせが出てくることがわかってきました。早い段階できちんとテストし、個人に合った修正エクササイズを続けることで左右差をなくし、けがをしにくい体を作ることができます。これを知っているか知らないかでは、選手生活に大きな差が生じてきます。

研究成果を現場で生かす

現在、スポーツ業界は研究が進み、さまざまなトレーニングのツールが生まれていますが、現場にはあまり浸透しているとは言えません。せっかく開発されたツールを、プロスポーツの世界だけではなく、地域社会にも普及させることが課題です。またトレーナーがいるチームはけがの発生率が低いという研究もあります。トレーナーとトレーニングに対する正しい認識を広めることも課題です。地域の人と連携し、けがの予防システムを構築する、これがスポーツの安全を担う立場としての任務なのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。

先生情報 / 大学情報

静岡産業大学 スポーツ科学部  講師 中井 真吾 先生

静岡産業大学 スポーツ科学部 講師 中井 真吾 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

スポーツ医学、理学療法学

メッセージ

スポーツというと、多くの人はプレーすることが一番面白いと感じるかもしれませんが、スポーツは観る人、する人、支える人がいて成り立っています。支える立場というと、主役ではないようで寂しいと感じるかもしれませんが、決してそうではありません。本気で支え、チームに貢献し、結果として勝利した時、その努力はほかでは得がたい喜びに変わります。
プレーが得意でない人でも、スポーツと深く関わることができます。あなたも、日々進化するスポーツ医学という側面から、スポーツ界を支えていきませんか。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

静岡産業大学に関心を持ったあなたは

静岡産業大学が目指すのは、ビジネスの世界で自ら考え、自ら行動し、成果をあげる力を身につける「ビジネス教育」。静岡全域をフィールドにした「アクティブラーニング」を行うなど社会で起きている課題解決策を探る「実学教育」に力を入れています。企業、団体、行政機関と連携した「寄付講座」ではビジネスの最前線で働くプロフェッショナルから仕事の内容や職場の課題について学ぶことができ、社会に出たあと即戦力として活躍できるように資格取得制度も充実しています。