ゴルフが屋内競技に? 映像解析で変わりゆくスポーツのカタチ

ゴルフが屋内競技に? 映像解析で変わりゆくスポーツのカタチ

スポーツとコンピュータビジョン

情報工学における「コンピュータビジョン」は、映像からコンピュータを使って何かの情報を引き出す分野です。スポーツにおいてはボールや選手の位置、動作などが抽出されますが、それらのデータは選手のパフォーマンス向上にも有用であることも実証されています。より精緻なデータ獲得が可能になったことで、近年ではコーチングや競技力の向上にフィードバックされる例も出てきています。

スポーツの変化の背景にあるのは

コンピュータビジョンは、見る側にそのスポーツの魅力をより伝えられるツールでもあります。例えば、2006年から採用され始めたテニスの「チャレンジシステム」です。複数のハイスピードカメラがボールの着地地点を追跡して、瞬時に3Dグラフィック化します。その一連の動きがコートの大型スクリーンに映し出され、審判の目視では精査できないような状況の判定をサポートしてくれるシステムであり、選手やチームの「権利」となりました。以降、バドミントンやバレーボールでも採用されて、スポーツの魅力をさらに引き出すとともに、スポーツのルール自体にも変化が生まれました。

人とコンピュータが共存する時代へ

ルール以外にも、コンピュータビジョンによってスポーツはそのカタチを変え始めています。ゴルフは広大な土地を必要とするスポーツですが、最近ではアリーナで開催する試みも始まっています。長い距離のショットはスクリーンに向かって打ち、その打球から飛行先をシミュレーションします。セカンドショットやサードショットはアリーナ内に作られたグリーン周辺で行います。傾斜もコンピュータ制御によってコースごとに作り変えられるため、実際のグリーンと同様の環境を実現しています。
こうした例からもわかるように、今はまさに「人とコンピュータが共存する時代」です。スポーツの新たな魅力発信を可能としながらその在り方に影響を与えて、従来の概念を覆すような研究に携われるのがコンピュータビジョンの世界です。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

創価大学 理工学部 情報システム工学科 准教授 宍戸 英彦 先生

創価大学理工学部 情報システム工学科 准教授宍戸 英彦 先生

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情報工学、スポーツ科学

先生が目指すSDGs

メッセージ

私の指導分野において、スポーツ経験は必ずしも必要ではありません。もちろん、経験がある学生はその興味関心をもとに意欲的に研究を進めますが、一方で競技経験のない学生はデータを先入観なく見られるので、それがいい研究につながることも多くあります。私はスポーツの醍醐味(だいごみ)、本質を探れるのは、この分野しかないと思っています。今の時代は、まさに「人間とコンピュータが共存する時代」です。スポーツに関して、そのど真ん中を突き進んでいくのは、この学問であると確信しています。

創価大学に関心を持ったあなたは

創立以来、学生と教職員が大学を創る者として、互いに対話、研鑽を重ねながら大学の価値を高めてきました。こうした教育・研究および社会貢献の成果は、文部科学省のGP(Good Practice)採択など、外部からの高い評価となり、普遍的な価値として、現代の大学教育に大きな示唆を与えています。また国際化が叫ばれる中、69カ国・地域、260大学との交流協定は、真の国際人養成に大いに貢献できることでしょう。