「誰かのために」が自分のためにも 地域で支え合うとは?
みんなの健康を、みんなで守る
人には、生まれた時から高齢になるまでさまざまな「段階(ライフステージ)」があります。公衆衛生看護学における対象は、そのすべての段階の「みんな」であり、健康で「よりよく生きる」ためにみんなで支え合うことを考えます。しかし、すべての人に対して一斉に同じアプローチをするわけではありません。ライフステージごとに着目して、どんな課題があるのか、誰がどんな取り組みをすればそれが解決できるのかといったことを、看護の立場で考えて実践していきます。
ふらっと訪れ、自分を取り戻す場所
例えば「思春期」に着目すると、これは「自分は一体どういう存在なのか」と考える時期で、気持ちが解き放たれた状態でその人らしくいられることが大事だとされています。近年では、公共施設の一角や空き店舗などを利用して、中高生が訪れて過ごしたいように過ごす「サードプレイス(第三の居場所)」を運営する活動が出てきました。そこで出会う人とのさまざまな関わりの中で、中高生が自分らしさを取り戻したり、将来を描けるようになったりすることがわかっています。そこでサードプレイスに通っていた高校生や大学生スタッフにインタビューを行い、それぞれにとってどのような場所になっているのかを当事者の言葉の中から考える研究が進んでいます。
見えてきたのは「つながり」
スタッフの大学生に話を聞くと、高校生だった頃の自身と重ねながら、当時自分が欲しかった言葉を高校生に伝えるなど、相手の将来に役に立ちたいという思いで接していることがわかりました。一方、高校生は年の近い大学生と遊んだり話したりする中で、大学生と気持ちがつながり、自分に自信がついたり、いろいろなことを参考にして取り入れたりしていました。大学生の思いと高校生の思いがつながり、その相互作用が居場所をつくっていることが見えてきました。これから大人になっていく人たちにとってこのような場所が持つ意味や、地域に根づくための方法など、今後の研究の中でさらに明らかになっていくでしょう。
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先生情報 / 大学情報
東北福祉大学 健康科学部 保健看護学科 教授 下山田 鮎美 先生
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