未解決問題を解明したい! それが数学研究のモチベーション
フィボナッチ数列の性質
フィボナッチ数列は、教科書にも出てくるので聞いたことがあるでしょう。その定義は、前とその前の数を加えたものが次の数字になる、というものです。各数字をFnとすれば、「F1=1 F2=1 F3=2 F4=3 F5=5……」となります。この数列には面白い性質があります。例えば、「F1+F2=2」、「F1+F2+F3=4」のように、各数字を加えた場合、右辺の数字にそれぞれ1を加えるとF4、F5と同じ数になります。数の起源が異なるのに同じ数字になるのです。
未解決の問題「ウォール予想」
また、(F1²)+(F2²)+(F3²)=1+1+4=6となりますが、これは実は、F3とF4を乗じたものと同じです。したがって、F1からF4までの数字の二乗を加えたものは、すべてを計算しなくても、F4とF5を乗じる、つまり3×5を計算すれば答え(15)が出ます。これらの例は、二乗した数字を加えたものなので、それぞれの数字を一辺とする正方形を隣接させて図形をつくると、それぞれの面積の和として表現することもできます。
これらの性質は証明することができますが、一方で、証明できない性質もあります。F1から順に、素数で割った余りの数列をつくります。例えば、2で割ると余りは、「1、1、0、1、1、0……」となり、「1、1、0」の周期で繰り返します。この場合は周期の数は3ですが、素数で割った場合の周期の数を一般的に導き出す公式は、今のところないと予想されており、「ウォール予想」と呼ばれています。
何を問題にするかが数学者の個性
数学の答えは1つではありません。まず数列の性質を見いだすことが重要です。これは、自分で問題をつくることと同じです。次に、この性質を証明することが求められます。どういう性質を見いだすか、何を証明するかは、数学者の個性です。その中で、解決できない問題に出会うことがあります。それに立ち向かうことが、数学研究のモチベーションとなっているのです。
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先生情報 / 大学情報
和歌山大学 教育学部 数学教育 准教授 北山 秀隆 先生
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