地震や株価、気温の解析など、身の回りで役立てられている数学
実社会で使われる数学
数学の中でも、特に実社会での応用を意識した分野を「応用数学」といいます。例えば「時系列解析」は、気温や株価、地震波など、時間の流れとともに刻々と値が変わるデータの解析に使われます。一見、ランダムに上下している値でも、そこにあてはめられる方程式の種類や満たされる条件を調べるなど、数学的な解析を加えることで、構造的な違いが読み取れます。例えば地震の計測では、微弱な揺れを示すデータを解析することで、木が風に吹かれて発生した揺れなのか、地震による揺れなのかがわかります。また株価の変動では、株式市場の日常的な変化なのか、経済ショックなど通常とは異なる出来事が背景にあるのかといった違いを読み取れるのです。
デザインと数学
応用数学はデザインの分野にも取り入れられています。スウェーデンでは都心の再開発が行われた際、ラウンドアバウト(環状交差点)の地下広場に、ショッピングモールが作られました。このとき、ラウンドアバウトの形状が課題となりました。自動車が周囲をスムーズに回るためには円形が良く、一方、ショッピングモールを広くするには、四角形が良いためです。そこで用いられたのが「ラメ曲線(スーパー楕円)」という数学的な曲線です。ラメ曲線はパラメータの値を変えることで、丸と四角の中間的な形を表現でき、これにより円滑な交通と空間の有効活用とが両立可能となりました。
高まるデータサイエンスの重要性
数学・統計学を活用したデータ解析についての学問は、データサイエンスと呼ばれ、近年注目を浴びています。例えばGoogle社には、高度な数学力を持つ社員が多数在籍していて、Webの評価アルゴリズムの作成などに数学的な理論が用いられています。
米国などに比べるとデータサイエンスの普及に立ち遅れた日本ですが、近年では文部科学省や各大学が、データサイエンス人材の育成に取り組んでいます。数理的なデータ解析を学び、新規ビジネスの創出や地域社会の発展につなげられる人材が、今後、広く求められるようになるでしょう。
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先生情報 / 大学情報
愛媛大学 理学部 理学科 数学・数理情報コース 教授 松浦 真也 先生
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