講義No.09894 看護学

認知症高齢者へのケアの知識・技術をアプリで学ぶ

認知症高齢者へのケアの知識・技術をアプリで学ぶ

初期の段階で治療を開始すべき

何度も同じことを言ったり、伝えたことを忘れたり、誰でも年齢とともに、「物忘れ」は起こり得るものです。物忘れのなかでも、病気による症状としての物忘れがあり、その1つが認知症です。認知症は、さまざまな原因で脳の神経細胞が衰えるために起こります。進行すると、日常生活に支障を来し、家族とコミュニケーションがうまくいかなくなることがあります。また、「認知症かも」と疑っていても、診断されることを本人が嫌がるケースもあります。進行すると徐々に他者の手助けが必要になります。初期の段階で専門医を受診し、治療を始めることが大切です。

画面にタッチするだけで学べる

本人も家族も不安を抱えてはいるけれど、どこに何を相談したらいいのかわからないというときのために、家族がどうすべきかを学ぶための教材アプリの開発が進められています。
全く知識のない人は、どういう介護サービスがあるのかさえ知りません。そこで、教材アプリでは(1)コミュニケーションのポイント、(2)何度も同じことを言う場合などの困ったときの対応方法、(3)介護保険で受けられるサービス内容の理解、(4)家族自身のケアという4つの観点を看護の視点から学ぶことができます。パソコンなどを使えない高齢者も、タブレットの画面にタッチするだけで、必要な知識や技術が学べる内容となっています。

気持ちに寄り添うことで不安を和らげる

家族は認知症の人の世界や心のありようを知ることが大切です。例えば、認知症の女性が亡くなった「夫に会いたい」と訴える場合、そんなことはできないなどと、頭ごなしに否定してはいけません。「なぜ夫に会いたいのか」「なぜ夫を必要としているのか」という思いを聞く必要があります。気持ちに寄り添うことで不安を和らげることができます。
家族にとってこのような知識は、講習会などに参加して誰かから指導を受けるだけでなく、タブレットを使えば必要に迫られたときに、いつでもどこでも自発的に学び、知識を得ることができます。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。

先生情報 / 大学情報

富山県立大学 看護学部 看護学科 講師 青栁 寿弥 先生

富山県立大学 看護学部 看護学科 講師 青栁 寿弥 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

老年看護学

先生が目指すSDGs

メッセージ

富山県立大学では、既存の工学部と新設された看護学部が「看・工連携」を掲げ、そのためのカリキュラムも充実しています。臨床現場では、看護職はパンフレットだけでなく、タブレットやアプリなど新たな媒体を使うことで、患者さんとその家族に知識や技術をわかりやすく理解につなげる工夫をしています。また、患者さんのケアの場面でも、より安全で人に優しい看護が受けられるよう、工学的視点を取り入れています。
あなたも情報工学などさまざまな興味や知識をもちながら、人と関わる看護を一緒に研究してみませんか。

先生への質問

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本学は、1990年の建学以来、創造力と実践力を兼ね備えた人材育成や高度な研究開発、産業界との連携による地域貢献を果たしながら、最適な教育・研究環境を整えてきました。
2024年4月には、「情報」を軸とする工学の専門知識と、データサイエンスの専門知識を兼ね備え、デジタルの力を活用して社会の潜在的課題の解決策を導き出す能力を持った人材を育成する、「情報工学部」を新設しました。新しい校舎も建設予定です。
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