人の夢を具現化するマーケティング
現実と理想の間に生きる
私たちは物理的にはもちろん、現実の中に生きていますが、気持ちとしては、現実と理想(あるいは夢)の間に生きています。言いかえれば私たちは現実にいながら、常に理想の自分を想像し、それを追い求めているものでしょう。理想があるから今の自分があるということもできます。その理想とは、「将来こんな仕事につきたい」といったような大きなものから、「昼は美味しいものを食べたい」といったような小さなものまでいろいろです。いずれにしてもそのような人が 抱く理想を実現しようとするのが、マーケティングです。
理想の具現化
部屋の消臭芳香剤で考えてみましょう。消費者の理想を知るべくその気持ちを聞いてみると、彼らは「窓を開けると風が吹き込んできたような爽やかな部屋」が欲しい、とわかったとします。そこで、消臭芳香剤でもただ臭いを消すものとしてだけではなく、「吹き込んできた風が部屋全体を爽やかにする」というイメージをもとにコンセプトを立てたとすれば、「風の流れ」や「透明感」「爽やかさ」などを具現化した、消費者がその理想により近づくことのできるような商品をつくり提供できることになるでしょう。
理想の未来像からたどる
今、私たちは当たり前にスマートフォンを使っています。きっと20年後には通信・コミュニケーション手段は全く異なる形になっているでしょう。今からその未来の姿を正確に予想するのは不可能です。しかし、人々がどんなライフスタイルで毎日を過ごすのが理想的かと想像することで、現在の延長線上にはない新しいアイデアが出現する可能性があります。
これは「ビジョニング」という考え方です。近年の地方創生という大きな課題でも、現在の延長線上としての未来ではない、より理想的な未来とは、という視点に立てば、今すべきことがより明らかになるでしょう。ここにもマーケティングが果たすべき役割があります。
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先生情報 / 大学情報
公立鳥取環境大学 経営学部 経営学科 教授 磯野 誠 先生
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