開発途上国の経済発展のために~ネパールの発展の道を探る~
地理的条件が悪く産業発展が遅れている国
世界には、経済発展の水準が低い「開発途上国」が多数あり、ネパールはアジアの開発途上国の中でもとりわけ発展段階の低い「最貧国」です。エベレストやアンナプルナといった世界最高峰の標高8000m級の山々がそびえ、トレッキングや登山などで訪れる人が多い国です。ただし内陸国なのでガソリンなどの燃料の輸送費が高く、道路網も未整備、乾季には首都地域でも1日10時間以上停電が続く、生活するには厳しい側面もあります。インフラ網の整備が遅れているため、海外からの直接投資の受入れによる重工業発展や産業振興には厳しい国でもあります。農村部はさらに厳しい状況であり、電気やガス、水道も整備されていない地域が未だに数多くみられます。水道を利用できない世帯では、毎日何時間もかけて、川や泉まで水を汲みに行かなければなりません。
あなたが国の指導者なら、どうやって発展させる?
現在数多くの援助機関やNGOが、貧困削減や経済発展をめざしてネパールで支援活動を行っています。生活用水の課題を解決するために、農村で小型の水力発電所の建設、太陽光発電設備を応用した水汲装置の導入、といった事業も進められています。ただし、それらの事業は、援助する側の国や組織の方針が変われば、規模が縮小、あるいは終了してしまうかもしれません。あなたが国の指導者なら援助をどのように国の発展に取り込もうとするでしょうか。
長期戦略に基づいた現実的な計画こそ重要
国の経済発展を進めるためには援助や海外からの投資は必要です。重要なのは「どのような国をめざすのか」という長期的な国家戦略を基とした、実現可能な開発計画の策定です。海外からの資金を上手に国の発展に取り込んで、費用対効果が高い効果的な援助事業を実践することが重要です。生活用水の課題に関しても、先進国からの技術や資金を活用し、ネパールの実情や環境に合致した導入・維持管理が求められます。効果的な事業を一つひとつ進めていくことが持続可能な発展にもつながっていくのです。
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長崎大学 多文化社会学部 多文化社会学科 准教授 小松 悟 先生
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