輸入野菜を安定調達できるプラットホームの構築を
我々の食に不可欠な開発輸入業者
スーパーの食品売り場には、ブロッコリーやほうれん草などの冷凍野菜が並び、私たちは季節を問わず多様な野菜を食べることができます。実はその大半が、中国をはじめとする海外で栽培、収穫されたものです。今や年間100万トン以上の冷凍野菜を輸入しています。その膨大な量を確保するため、「開発輸入業者」と呼ばれる専門業者が存在します。彼らは栽培・収穫、輸送ルートの整備をして、私たちがいつでも野菜を口にできる仕組みを作っています。例えば同じ野菜を、緯度の違ういくつかの産地で育て、年間を通して商品を調達できる「産地のリレー化」の仕組み作りなども行います。つまり、輸入野菜の供給を使命とし、ビジネスをデザインする存在なのです。
産地形成に必要な4つの条件
海外で野菜産地を形成するには、最低でも4つの条件が必要です。日本のユーザーが欲する「高品質」な商品を生産できること、「価格」が安定していること、そして定められた「時間」に、定められた「量」を輸送できることです。これらは、日本のスーパーや外食店などに商品を供給するための基本的条件にもなります。開発輸入業者がこれらの条件を満たすために活動することで、いつでもどこでも多種多様な野菜を食べることが可能となっています。
安定して調達する基盤作りのために
今も昔も野菜の最大の調達先は中国ですが、近年、関係性が劇的に変化しています。かつては中国の冷凍野菜総輸出量の8割が日本向けでしたが、今は3割ほどです。そのため日本側が提示した価格では、欲する品質水準の商品を売ってもらえない事態が起こり始めています。東南アジアや南米に活路を求めたり、同じ中国でも人件費の安い内陸部へ展開したりする開発輸入業者もみられますが、4つの条件をすべて満たすのは容易ではないため、研究者も関与して輸入野菜を安定調達できるプラットフォーム(基盤)の構築が望まれています。これを土台に各企業の強みが打ち出せれば、今までになかったイノベーションが生まれるかもしれません。
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先生情報 / 大学情報
桃山学院大学 ビジネスデザイン学部 ビジネスデザイン学科 教授 菊地 昌弥 先生
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