ホエイとは? 日本がやるべき未利用資源の活用!
廃棄される資源を有効活用
約100年前に日本にチーズが入って以来、大手の乳製品企業以外でチーズを作っている工房は、ここ数十年でぐっと増えました。今や中小規模の工房は、約300あります。しかしそれだけ増えるとほかの工房との差別化が難しくなり、今はどこも似たような商品ラインアップです。そこで各工房の独自色を出そう、しかも本場ヨーロッパにもない日本独自のチーズを作ろうと、盛んに研究されています。
ホエイって何?
その中で注目されているのが「ブラウンチーズ」です。これはホエイ(乳清)という液体で作るチーズです。ホエイはチーズを作る際に出てくる液体なのですが、これが実に大量に出ます。例えば100リットルのミルクからチーズを作ろうとすると、チーズになるのはたった10%ほどで、あとはホエイです。しかもホエイは、産業廃棄物として捨てられています。もったいないのですが、ホエイはそのまま口にしてもおいしくありません。また、ミルクそのものの生産量が少ない日本では、ホエイを商品化しても利益が得にくく、活用されてきませんでした。これは日本よりも大量にミルクを生産する本場、ヨーロッパでも同じです。
しかしそのホエイから盛んに「ブラウンチーズ」を作っている国があります。ノルウェーです。種類も豊富ですがほぼ国内で消費されているため、他のヨーロッパ諸国ではブラウンチーズの存在すらほとんど知られていません。
資源のない日本こそやるべき未利用資源の活用
日本はそんなノルウェーを手本に、研究で甘みの増した、日本人の口に合う日本独自のブラウンチーズ作りに取り組んでおり、それが少しずつ広まり始めています。日本はミルクの生産量が少なく、食料品の大半を輸入に頼るほど資源の少ない国です。だからこそ、ミルクからチーズだけでなくブラウンチーズも作り、原料を余すところなく使い切る姿が理想でしょう。これまで廃棄されていた未利用資源を、利活用できる技術力を上げていく必要があるのです。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
日本獣医生命科学大学 応用生命科学部 食品科学科 乳肉利用学教室 准教授 三浦 孝之 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
食品開発学先生への質問
- 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?