建築物の設計は二次元から三次元へ~「BIM」って何だ?~
建築物の設計は平面から立体へ
「住みたい家をイメージして」と言われると、建物を立体的に思い浮かべるでしょう。しかし、これまでの建築物の設計図は手書きやCAD(キャド)というツールを使った平面図が主流でした。三次元のイメージを二次元で表現した設計図を見ても、一般の人が正確に内容を理解するのは難しく、それが間違いのもとになります。
そこで近年の建築業界で注目を集めているのがBIM(Building Information Modeling:ビム)という設計ツールです。BIMでコンピュータの中に建物の立体モデルをつくり、設計はもちろん施工管理もずっと三次元のまま、完成イメージを共有しながら進行します。
立体的な構造で「見える化」する
データをiPadに取り込めば、コンピュータにつくった立体モデルの中を自由に歩き回ることもできます。建物内の風の流れや光の入り方、熱量などのシミュレーションもでき、ドアハンドルのデザインやコンセントの位置など、平面図では把握できない細かな所も確認できます。BIMだからできる建築データの「見える化」は、発注者との正確かつ迅速な合意を可能にします。
従来の二次元の図面もボタンひとつで切り出せます。また修正を行えば連動するすべてのデータが自動修正されるので、図面の内容と実物が異なるといった現場でのミスを防ぐことができ、廃棄物も減らせます。
これからはBIMが主流に
日本におけるBIMの導入は海外に比べ遅れています。建築の設計は手で考え、手で学ぶことをよしとする傾向が根強く残っているからです。しかし企画から設計、施工、さらに維持管理まで一括でできること、事業者間のコミュニケーションを円滑にし、設計に関するリスクも回避できることから、BIMが今後の主流になるでしょう。また建物の維持管理に関する情報も履歴として残ります。建物を解体するまで1つのファイルの中で管理できることは、建物の管理主体となる事業者にとっても大きなメリットなのです。
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広島大学 工学研究科 建築学専攻 准教授 中薗 哲也 先生
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