地球内部を知ることで、地球と生命の共進化を知る
地球の内部は謎だらけ
地球の内部深くには、マントルと呼ばれる層が存在し、固体でありながらゆっくりと対流しています。その対流がプレート(地表近くの岩盤)の移動や沈み込みを引き起こすことで、大陸移動や地震の原因ともなっています。
地球内部の構造に関しては、直接観察することができないため、いまだにわかっていないことが多くあります。例えば、プレートが沈み込んで地球内部に入り込んでいくと、地下600kmくらいで沈み込みが止まるということがわかっていますが、その理由は判明していません。
高温高圧状態を実験室で作る
地球内部の構造を知るための研究としては、「地震波の伝わり具合を調べる」「出てきたマグマを分析する」など、さまざまな方法があり、その1つに「高温高圧状態を実験室で作る」という方法があります。
地球内部は、高温高圧の状態で、深くなればなるほどその度合いが増します。地下400kmを超えると、マントルを構成している鉱物の結晶構造がさまざまに変化していきます。実験室でその高温高圧の環境を再現することで、結晶構造の変化がわかり、その粘性率がわかります。粘性率とは、どのくらい変形したり移動したりしやすいのかということです。それによって、マントル対流の速度など、動き方がわかってきます。
生命と地球内部の密接な関係
マントル対流を詳しく知ることでわかるのは、地球がこれまでにどのように変化してきたかということです。それはすなわち、地球上の生物がどう進化したのかを知ることにつながります。生命にとって重要な元素として水素、炭素や酸素があります。マントル対流によるプレートの沈み込みにともなって、地球表面の水や炭素、酸素が地球内部に入り込んでいき、何億年というスケールの大きな循環を作っています。大昔の地球の大気は窒素や二酸化炭素が主でしたが、酸素が増えることで、生命の進化につながりました。地球と生命は、互いに影響し合いながら共進化してきたのです。
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先生情報 / 大学情報
広島大学 理学部 地球惑星システム学科 准教授 川添 貴章 先生
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