環境問題の解決に向けた、世界の新たな動きって?
不可欠な国家間の協力
現在、世界で大きな問題となっているのが、地球温暖化や森林破壊、PM2.5などの環境問題です。環境問題は地球全体に関わることなので、解決するためには国家間の協力が必要不可欠です。2015・2016年には気候変動に関する国際的な枠組み「パリ協定」が採択・発効し、2020年以降の目標や概念が見えてきました。こうした世界規模での動き以外にも、近隣諸国間での取り組みも見られます。例えばEU、ASEAN、ASEAN+3(プラススリー)などの地域協力においても、活発に意見交換が行われています。このように複数の国が環境問題に関して関係を強化することを国際関係論における地域協力と「Environmental Regionalism(環境的地域主義)」という分野の中で研究することができます。
企業や専門家も国際協力に参加
環境問題に関する国際協力については新たな動きもあります。かつては国際協力というと、各国首脳や大臣がメインとなって進めるのが一般的でした。近年は専門家も参加し、「Epistemic Community(世界規模の問題に対応する各国の専門家が議論や共同研究を進めるさまざまなプラットフォーム)」が形成されるようになりました。さらに環境問題は政治や経済とも密接に関連しています。そのため、多国籍企業など、経済活動によって複数の国をまたいで環境に影響を与える組織も関わるようになっています。
重要になってきた「個人」の存在
また現在注目を集めているのが、影響力のある「個人」の存在です。例えばビル・ゲイツさんやグレタ・トゥーンベリさんたちの発言は環境問題に大きな影響を与えています。個人の影響力が拡大してきた理由は、ツイッターなどSNSの力が大きいでしょう。
このように国や専門家、企業、NGO、個人がお互いに意見を出し合いながら、環境問題への取り組みは少しずつ進んでいるのです。そして環境に限らず、国際問題はさまざまな組織・立場の利害関係を考慮しつつ、解決をめざすことが重要なのです。
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同志社大学 グローバル地域文化学部 アジア・太平洋コース 准教授 アイスン ウヤル槙林 先生
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