グラフィック表現を用いた説明 その論理と実践

グラフィック表現を研究する論理の視点
私たちは普段、何気なく図や言葉を使っています。それらがどのように情報を伝えるのか、これまでの学問では十分に説明できない疑問がありました。そこで、情報の本質を理解しようとする論理学的なアプローチによって、「グラフィック表現」が研究の対象として注目されるようになりました。グラフィック表現とは、情報をわかりやすく伝えることを目的とした図的表現で、美しさを楽しむ芸術作品とは異なります。教科書の図解がその一例です。研究では、特に言葉と図がどのように組み合わさって私たちの理解を助けるのかに注目し、なぜこうした図解が情報を伝えるのに効果的なのかを分析しています。
見る・読む・理解するメカニズム
グラフィック表現の効果を検証するために、アイトラッキング技術を用いた研究が行われています。視線の動きを追跡して、人がどのように図と文字を行き来しながら情報を処理するかを分析します。例えば「説明文と図表」が併置されたとき、どのような順序で情報を読み取り、どの部分に注目するかを明らかにします。また図の形式や色、レイアウトが、理解度や記憶に与える影響も研究されています。こうした知見は、教育現場やビジネス、公共情報の提示などさまざまな場面で活用されています。グラフィック表現の特性を理解することは、効果的なコミュニケーションの鍵なのです。
情報社会を生き抜く洞察力
グラフィック表現の研究は、メディアリテラシーの向上にも貢献します。SNSやニュースサイトでは図表を用いた情報が流通し、例えば、グラフの縦軸目盛りを意図的に操作することで、実際よりも大きな変化があるように見せて、受け手の認識をゆがめる手法が存在します。こうした「グラフィカル・レトリック」を分析することで、情報の本質を見抜く力が養われます。この研究は、表現の技法を読み解く洞察力を育み、フェイクニュースや誤解を減らすことに貢献しています。情報社会では、表現の仕組みを理解するスキルが個人に求められるのです。
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