部活動も受験勉強も必要ない? スウェーデンの若者支援のあり方
若者から大人への「移行期」を保障
日本では高校で部活動や受験勉強に打ち込み、卒業後すぐに大学進学・就職に進みます。しかしスウェーデンでは高校に部活動がなく、進学塾に通う人もほとんどいません。卒業して大学に入学する年齢は平均24歳で、大学の学費も無償のため、自分が社会に出て何をすべきかをじっくりと考える時間とゆとりがあり、若者から大人への「移行期」が保障されています。この時期に、自分と向き合い試行錯誤をすることができます。長期旅行をしたり、アルバイトをしたり、ボランティア活動に打ち込んだりしますが、多くが「若者団体」でさまざまな活動を行っています。
「ユースワーク」が浸透
若者団体は、音楽活動、ゲームやアニメなど趣味や同好会、環境活動、移民や難民支援、政治参加など、多岐にわたる活動を行っています。若者が主体となって運営しますが、政府や地域行政も資金援助や場所の提供などで活動をサポートしています。例えばスウェーデンを含む北欧やヨーロッパの一部には、地域に「ユースセンター」という施設があり、若者団体の余暇活動の場になっています。ここで行われる活動や、活動をサポートをすることを「ユースワーク」といい、若者の社会保障の一環として社会に根付いています。
成長や自立より民主主義
このように、スウェーデンが国や地域をあげて若者を支援する理由は、それが「民主主義を守る」ことにつながると考えられているからです。民主主義とは、あらゆる人が社会に参画し、共同で意思決定を行い、より良い社会をめざす仕組みです。移行期の若者が所属する団体は民主主義社会の最小単位であり、活動を通して権利の尊重、責任などを学び、「民主主義を実践する場」であるとみなされています。実際に、スウェーデンの若者の投票率は約85%もあり、日本とは違って若者が政治に参加することが当たり前になっています。若者自身に成長や自立を求めるばかりではなく、社会全体でそれを手厚く支援していくことが、こうした結果にも反映されているのです。
参考資料
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